再会-3
4.
他に人の居ない気安さと、昔のガールフレンドの身の上話しに気を取られて杯を重ねる内、気が付いてみると和子はソファーにもたれて居眠りをしている。
霊前の消えかかった線香を新しくして、部屋に戻ると、和子はソファーからずり落ちて、畳の上で寝息を立てていた。
「看病で疲れたんだろう」
秀雄は和子の前にひざまずいて、寝顔を覗き込んだ。
喪服の襟首から胸元に、白い肌がむっちりと盛り上がって、性感をそそる。抱えて寝室に運んだら、どんな悪い気を起こさないとも限らない。傍らの座布団を引き寄せると、和子の頭を持ち上げ、その下に押し込んだ。
近くで見る和子の耳たぶ。ふっくらと厚みのある耳たぶが、キャベツの切り口の様な複雑なうねりを作って、耳の穴を絞り込む様につながる。
秀雄の亀頭が、ぴくりと疼いた。
耳の形は、性器と相似の関係にあるという。こんな素晴らしい耳たぶは見たことがない。横たわる和子の腰の丸み、喪服の裾が乱れこぼれるようなふくらはぎ、その付け根にこんな豊かな割れ目が息づいているのだろうか?
ヒダヒダの小陰唇を押し割って、亀頭がのめり込む。膣口を押し開く雁首、侵入する陰茎にヒダヒダがまとわり付く。 空想につれて、股間が火照り膨張する。
秀雄は頭を振って妄想を消すと、立ち上がった。
祭壇の横の押し入れをあ開けると、毛布があった。和子の足元から肩まで、そっと毛布を掛けた。
秀雄は霊前に手を合わせると、そこに座り込んだ。
「今夜は、徹夜で線香番だ」
5.
「秀雄さん、ごめんなさい」
和子の声で、秀雄は目を覚ました。
「しまった、寝ちまったか」
徹夜を覚悟して線香番をしたつもりが、いつのまにか寝入ってしまったらしい。
「お陰で、ゆっくり休めましたわ。看病で疲れていたのね。気が緩んだら、どうにも我慢が出来なくて、つい寝てしまったみたい」
「徹夜で頑張るつもりだったけれど、こっちこそすいませんでしたね」
「いえ、お線香は灯いていましたわ。本当に助かりました」
「これからどうするの」
「どうすると言われても、どうしようもないわねえ、今までどおりよ」
「結婚する気はないの」
「どうしようかしらねえ、それよりも、秀雄さん、大学に入ったら急に連絡が切れてしまったけれど、どうしたんですか?」
「ほら、あの最後のデートで、和子さんがあまりにも立派になってしまって、自分が惨めでみすぼらしく見えて」
「そう、私はてっきり秀雄さんが、ほかに好きな人ができたんだと思って、たまたま紹介された人と結婚をしてしまったのよ」
「僕は和子さんと、結婚をするつもりだったんだよ」
「でも、そんなこと一言も言ってくれなかったじゃない」
「自分で思い込んでいただけで、和子さんには言ってなかったのかなあ」
昨夜の妄想が、まだ覚めやらぬ脳に蘇る。
「和子さん、僕の気持ちは、今も変わらない、君が好きだ」
昨夜掛けてやった毛布の上に、着崩れした喪服に包まれて、和子が横すわりをしている。
むっちりした胸元が、緩んだ襟元の奥に覗く。
「和子さん」
秀雄は、和子の肩を横抱きにして、毛布の上に押し倒した。