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好き…だぁーい好きなんだからっ!
【幼馴染 恋愛小説】

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断ち切って…-3

テニスウェアを身に纏った見慣れた友人に手を振り、私は学校に背を向ける。

何だか気分が清清しい、ラケットを振って良い汗を流したからか、それともさっき八雲達
を精神的にサンドバックしてやったからか。ジャージ姿でラケットを肩に乗せ、赤く染まった夕日を目にする。

「ふぅ…。」

ふいに溜息が出る、何だろう…悩み何てないのに。いつものお元気杏チャンなダケなのに
菫は時より寂しげな瞳で私に視線を送るし、とはいえ私も心の置く隅で得体の知れないモヤモヤが存在しているのも事実。

「あんな机、さっさと撤去すれば良いのにっ!」

責任転換をつい口に出す。先生に以前不服申したが「戻ってくる可能性がある」と返され
何が、前任の教師から彼の事情は伝わってはいる、つまりは学校側の都合という訳だ。
それなら仕方が無い、悪いのは私だし。

「おっ!今帰り?」
「えっ?」

背後から聞き覚えのある高いけど低い声、どっちだよ。軽いステップで私と肩を並べてきて、歩幅を合わせる。東堂君…。

あの屋上での騒動の後、彼は八雲達を問い詰める事はなく、普通にいつも変わりなくノリの良い挨拶を交わしたそうだ、私の脅し?が功をそうしたか。要するに何も気付いていない。八雲達は複雑な表情を浮かべていたが。

「どーしたの浮かない顔して。」
「酷い!誰が汚い顔よっ!」
「言ってないよ、何かあった?」
「何かって何?」

質問を質問で返す私、もしや八雲達の件が、いやそんな筈は。そう妙な不安を抱くも彼の
次の言葉で一掃される事に。

「いやだって無人の机をずっと見てたから。」
「!」

見てたのか。私は予想外の返答にうろたえる。

「先生から聞いた、あの机には本来居るべき生徒が居たんだって。」
「それは…。」
「長谷川君、だったっけ?彼とは一体どんな関係が」

東堂君が知るのはここまでか、どうにか私たちが付き合っていた事までは把握しきれて居ないようで、少しホッとする。悪い人ではないだろうケド、つい最近会ったばかりのチャラ男君にそんな大事な事実を耳にいれる訳には行かない、見て見ぬフリしてきた傷口を開かれるようで、何だか恐い…。

私は少しキツイ口調で「何でもないっ!」と声を張り、彼も余計な散策をしてしまったと
反省し、謝罪の言葉を挙げる。

「ねぇ!この後暇?」
「はぃっ?」

話を切り替え、私を誘おうとする彼、何なのだ?。

「映画にでも行かない?今すんげーオモロイのやってるんだけど。」
「東堂…君。」

映画?しかも彼と、私が?…真っ先に疑問に思った事を口にしてみる。

「何で、君と?」
「え、いやだってこの前カラオケに…。」
「それは、皆とでしょ?今回はワンツーマンではないかね?」
「そうなるけど、駄目?」

この子、一体何を持ってそんな事を。単なる友達としてたまたま見掛けた私を誘っただけ
?チャライ彼なら充分有り得る。

「君、そういうの同性と行きなさい、でないと変に誤解されるカラ。」
「へ?……。」
「女は恐いんだから後で色々噂になったりして、それに誘ったのが私だから良かったけど
他の女性にして御覧なさい、ガラスのハートが音を立てて破片と化すから。」

何言ってんだ私、後半ポエムってしまって。

「………そう、だよね。はは俺ったら鈍感だなー。」
「以後気をつけて下さいね、私達は、ただの友達…、何ですから。」

妙な間を空けたものの、後でしっかり解ってくれたようで何よりで。

それから彼は急に用事を思い出したとかで、元気良く地面を蹴り片手を上げ私の元を去って行った。夕陽に照らされる彼の笑顔が何だかとても眩しく見えた。

「東堂君…。」

ただの友達、ふいに八雲達に問い詰められた事を思い出す。

「てめー、オトメンの何なのよ…。」

何かって友達だよ、それ以外に何がある?彼氏ってか?馬鹿も休み休み言いなさい。

私の彼氏だったら、もう…。

何だろ、急に胸が締め付けられてきた。

私は、そんな想いを振り切りツカツカと帰宅する事に。すると…。

「織原サン?」
「?」

公園からやや抜けた声を耳にする。

「加藤君?それに伊藤サンも…。」



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