愛しいお姫様-5
「ああ、でもこんなオジサンが君みたいな若い子に手を出して良いのかなぁ……」
年の差23歳、ジェノビアが成人したとはいえこれは犯罪なのでは?
「良いんです!」
やっと応えてくれたのに手放すつもりはない、とジェノビアは勢い良くデレクシスと唇を重ねた。
「むっ?!」
ムードもへったくれも無い乱暴な口づけにデレクシスは目をパチパチさせてしまう。
逃がすまいとするジェノビアの必死さが伝わり、可愛くて愛しくて思わずデレてしまった。
デレクシスはジェノビアの後頭部と腰に手を回し、彼女をグッと抱き締める。
「んっ」
デレクシスの腕はジェノビアを女性として扱っている。
ジェノビアが夢にまで見たデレクシスの『男』の腕だ。
ジェノビアは嬉しくて何度も角度を変えてデレクシスの唇を啄む。
(ふふ、可愛いなぁ)
拙いキスは経験の無さを表している。
試しにペロリと唇を舐めてやると、ジェノビアはびくりとして動きを止めた。
「大人のキス……教えようか?」
耳元で囁くデレクシスの声にジェノビアは、カアッと赤くなりつつも小さく頷く。
デレクシスは自分の頬を挟んでいるジェノビアの手をやんわりと外して、片手で彼女の頬を包んだ。
舌を出してジェノビアの唇をそっとなぞる。
「ん」
くすぐったくて口角が上がるジェノビアにつられて、デレクシスの口元もデレた。
笑ったままはむっと唇を同じもので挟み、隙間から舌を差し入れる。
戸惑いつつも素直に受け入れたジェノビアは、おずおずと自分からも舌を絡めた。
「ん……ふ……ぅ」
徐々に深くなる口づけに自然と甘い声が漏れる。
ちゅ ちゅく ぢゅぅ
舌を絡める湿った音と唾液を啜り合う音が静かな部屋に響いた。
「んっ ぁ おじ様……っ」
いい加減苦しくなったジェノビアはデレクシスの肩をパタパタと叩く。
「はっ ごめんよ 苦しかったかい?」
そう言うデレクシスも息が上がっているのだが、顔を上気させてはふはふと空気を貪るジェノビア程ではない。
「はふ おじ様ぁ」
夢見心地になったジェノビアはふにゃあっと崩れてデレクシスの肩に頭を乗せた。
ふわふわの髪が頬に触れてデレクシスはクスリと笑う。