エピローグ-2
「色々問題があったんだろ? そいつは」
「署内では、まあ、アニメやらアイドルやら、ちょっとオタクっぽい趣味があったということですが、上司は特に問題視してなかったとかで……」
「しかし怪しいじゃないか。練馬なんかのボロアパートを借りたりしてたんだろ? 淫行で捕まった容疑者の部屋をわざわざ修繕費用を払ってまで借りて。何が目的だ?」
「わかりませんよ……。私では」
若い刑事が肩をすくめると、ベテラン刑事も大きく息をついた。
「ま、何にせよ早くその村本とかいう馬鹿を捕まえればいいんだよ。こんなんじゃ、暫く飲みにも行けんぞ」
「そうですねぇ……」
若い刑事も、面倒くさい、という思いでは同じだった。「……同じ捜索するなら、瀬尾悠花ちゃんを捜索したいですよ」
「誰だそれは」
「知りません? モデルの。ここ最近ですっごい人気がでて、メチャクチャ可愛い子なんですよ。俺、写真集買っちゃいましたもん。その子も何か、行方が分からなくなってるって、テレビで喚いてましたよ」
「……知らん。どうせ仕事が嫌にでもなって逃げ出してるんだろ。顔がいいと、甘やかされてるだろうからな」
「そんな感じじゃない子だったんだけどなぁ」
若い刑事は、自分の好きな芸能人を否定されて、内心ムカっとしていたがぐっとこらえて、
「……死んでるってことはありませんか? もう」
「そのモデルの、何とかってのか?」
「いえ、村本のほうです」
ベテラン刑事は溜息をついた。
「かまわんさ。死んでるほうが動かんから見つけやすいかもしれんな。とにかく、俺は早く終わってほしいよ」
〜 完 〜