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好き…だぁーい好きなんだからっ!
【幼馴染 恋愛小説】

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和解-1

「何だよソレッ!」
「絆……。」

 母と父は僕にドナー登録を勧めてきた、ドナーに登録し僅かな可能性でも助かる
 チャンスを得ようと言う。

僕はふざけた事を口にする母と父に、自分でも驚く位の怒号を静かな居間に響き渡せる。

「こういう事はやっぱり家族とちゃんと話し合った方が良い…。」
 彼はそう言って患者である僕を振り回すように、今度は自宅で一時的に療養を命じて  きて、顔も見たく無い親と再び同じ屋根の下、生活する羽目となり。

余計な事を。僕が死を覚悟するのにどれだけの葛藤があったと思っているんだ。
 余命あと僅かと言われて、それを受け入れるのはどんな人間でも容易な事では無い筈。

「今更、今更なんだって言うんだよっ!。今まで散々病気の子供を放置してきたくせに」
「それは…。」
「やっと、やっと自分に向けられた運命を、ようやく、ようやく受け入れられ、覚悟が
 出来た、後は余計な事は考えずにただ前向きに死を待つ、その筈だったのにっ!」

僕の怒鳴り声が気になったのか、いずみが何事かと下へ降りてきて、階段の所で足を止め
様子を伺う。

「絆、スマンかった、父さん達も色々と考えがあって。」
「何がっ!助けて欲しい時は無視して、諦めてラクになろうとしたら今度は諦めるなって
……。自分の子供をどんだけ粗暴に扱えば気が済むんだっ!」
「粗暴だ何てお母さんは別にっ。」
「もう解放してよ!もう病気に振り回されるのはゴメンだ。そんな事したって見つかる筈
が無い、変に期待して裏切られ傷つけられるのがオチ!…だったらこのまま何事も無く
 ただ静かに息を引き取った方がラクだ!」
「……。」

ドナー登録の事は知っていた、病院の廊下でポスターを目にしたから。
 それで親を呼んで、これに頼ろうと思ったのに、リハビリ代同様見向きもしてくれず。

「しかしなぁ、生きていれば良い事だって沢山あるだろう。」
「綺麗事言わないでぇ!…。父さん達の気持ちは良く解ったから、でももう良いんだ。
 もう充分生きた、そりゃー二十歳までって他からしたら短すぎるだろうケド満足だよ、
 今更生きてやりたい事なんてたかが知れているし。」
「でも…。」
「ホントは母さんも僕に死んで欲しいんでしょ?今まで病気の息子を放ったらかしにして
ここに来て、生きろ、とか…。」
「!!?」

僕の容赦ない尖った言葉に心が突き刺さり、目をパッと見開く母。
 それを聞いた父が珍しく。

「バカモンッ!!子供の死を望む親などおらんっ!!」
「!!」

普段喋らず温厚な父が雷を落としたかのように、急に大声を挙げ、肩が竦む。
 それは横で肩を並べている母と、先ほどカラ盗み聞きしているいずみも同じで。

僕はこれ以上話にならないと、そのまま黙って自室へ向かい。
 そこで妹が盗み聞きしている事に気付き、バツ悪そうに視線を逸らすも、一瞬ムッと
 来たが、もはやどうでも良かった。

ドアを乱暴に閉め、背中を思いっ切りベットに叩きつけ、顔を強張らせ、天井を見つめる

「……皆して、僕を…。」

親が何を言って居るのか半分解っていなかった、本当は悪気何てないんだろう。
 ダガこの時の僕は、世界が真っ暗に見えて自暴自棄になっていたのかもしれない。

今更、今更生きる理由、何て……。

居間では、コソコソと自室へ戻るいずみと、すっかりと弱りきってソファーに座り込み
 泣きじゃくり腰を下げ両手で顔を塞ぐ母と、その横で母の肩を握り元気づける父。



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