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好き…だぁーい好きなんだからっ!
【幼馴染 恋愛小説】

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和解-2

あの喧嘩以来元々冷め切っていた親との関係がより凍りつき、無言で食事を出し
 無言で洗った服を持ってきたりと、形だけの母親業をこなし、それは僕も同じで食後の
挨拶も口にしなければ服を洗ってくれた事に対してお礼の一つも言わない。

持病うんぬんで揉める以前からもこんな感じだったが辛うじて一言添えるぐらいだったが
 思春期真っ逆さまの少年はこれが普通だと特に気にも止めてなかった。

母も父も僕が来る度空気が重たくなる、いずみも巻き込まれるように母に「早く学校
 行きなさいっ!」と当られ。

何だよ、僕のせいか?
 こっちだって苦しんでるのに……。

そんな事ばかりを考えてしまい、少しでもこの暗い気分から解放されようと、僕は嫌な
 空気が充満しているこの家からちょっと抜け出す事に。軽い外出なら大丈夫だと先生
 からも許可は貰っている。


「はぁ…。」

青い空白い雲、眩い太陽が容赦なく人々を照らし続ける。
 この日も犬の散歩やジョギングに励む人々などで賑わう見慣れた公園。

あぁ、僕がこの世から去っても世界は変わらないんだな。

そう独りでに想い、ボーと公園を行き来する人々を眺める。

「近くでトラックとの衝突事故があったんですってね。」
「えぇ、乗用車の方は意識不明の重体だってニュースでやってた。」

何事もなく僕の前を通りすぎるオバサン二人組が、そんな他愛も無い会話を口にする。

「事故……。」

その時、僕は脳裏にある恐ろしい事を思い浮かべる。

このまま道路に飛び出して事故死が出来ないだろうか……。

旅行を終え、後は余計な事はせずただただ死を受け入れて死ぬだけ。
 それなのに親から急に生きろと言われ。正直断りたい、ラクに死なせてくれと。
 ダガ小心者の僕は、あんな状況で親にそんな事言える度胸も無く。

……だったら、いっそこのまま。元より失う命。

そう自分に言い聞かせ、何かに取り憑かれたかのような足取りで車やトラックが走る道路
の近くまで足を運び。

これから一人の病んでる少年が社会に著しい迷惑を掛ける事知らずに、それぞれ目的地へ
アクセルを踏み続ける車達。

恐い。…何より悲しさが込み上げて来る。

どうして僕がこんな事を。あの時病院で親と会う事無くそのまま予定通り天国へお迎えが
来るまで静かに入院していれば。

そう思うと余計親が憎くて堪らない。ダガそんな事はもはやどうでも良い。

一瞬の勇気、激痛と言葉では表せれない恐怖があるだろうが、それさえ乗り越えれば
 僕は…、ラクになれる、後は天国で優雅に暮らせばいいさ。

さぁ行け長谷川絆。躊躇せず思いっ切り飛び出すんだ。そうでないとあの世へは逝けず
 ただ周りの人間に怒鳴られ、痛く不自由な身で残りの余生を過ごす羽目となる。

前に片足を出し、そして。

もういい、何も考えるな、何も……。





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