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私の王子様
【ファンタジー 官能小説】

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大好きな絵本-4


 お城に戻った王子様は、斬り倒した木でベンチを作ってくれるように王様に頼みました。
 そして、庭師に相談してあちこちに花壇を作りました。
 花壇が出来上がると、王子様は花が咲いている広場に行きます。
 王子様が近づくと花達は怖がるように小さく震えました。

「今まで乱暴してごめんなさい。もう、キミ達を傷つけたりしないよ」

 王子様は花に語りかけました。

「でも、この場所は人も馬も良く通るから危ないんだ。見晴らしの良い花壇を作ったからそこに植え替えても良いかな?」

 花達は戸惑うように揺れた後、王子様の手にそっと葉っぱを触れさせました。

「ありがとう」

 王子様は根っこを傷つけないように、丁寧に花達を花壇に移動させます。
 次に泉に行くと、また王子様は語りかけました。

「毒を流したりしてごめんなさい」

 泉の濁った水がバチャリと音をたてます。
 まるで、近づくなと怒っているようでした。
 でも、王子様は怯まずに語りかけます。

「絶対に綺麗な泉に戻すから待っていてね」

 そう言い残した王子様は、お城に住んでいる魔法使いを訪ねました。
 魔法使いは100歳を超えたお婆さんで、いつもお城の地下にいます。
 何となく怖くて来た事もなかったのですが、王子様は勇気を振り絞って地下へ進みました。
 地下室の扉の前に着くと、何もしていないのに扉がギギギと開きます。

「ヒヒヒ、待っていたよ王子様」

 中から嗄れた声がしました。

「さあ、お入り」

 恐る恐る入った部屋には、沢山の植物と沢山の薬瓶、そして沢山の人参が歩き回っています。
 人参は手足のように割れた部分を器用に使って、ちょこまかと忙しなく動いていました。

「その子達は何もしないよ。さあ、こっちへおいで」

 魔法使いの声に、王子様は人参達を蹴ったりふんだりしないように注意深く進みました。

「ヒ〜ッヒッヒ、あの乱暴者の王子様が変わったものだね」

 魔法使いは肩を揺らして笑い、王子様は少しムッとしましたが魔法使いの言う通りなのでグッと我慢しました。

「お願いがあってきました」

 王子様が声を出すと魔法使いは右手を振って黙るように合図します。

 


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