意外な強敵-1
突然の参加者に、みんな固まったままだった。
明らかに戸惑っている俺達を察した歩仁内は、
「ごめんごめん、黙ってて。前もって言っちゃうとみんな気を遣いすぎて“行かない”とか言われると思ったからさ。
でも、準備してるうちに、荷物が思ったより多くなっちゃって、車じゃないとかなりきついと思ったから、兄貴に頼んだんだ」
と両手を合わせ、申し訳なさそうにウインクをする。
そんな歩仁内の横で、カラカラ笑う州作さんは、
「それに君らは一応未成年だし、大人がついていた方が体裁がいいだろ?
まあ、知らない奴が混ざって戸惑うかもしれないけどな。
でも、年上だからって変に気遣わなくていいからね。21歳だけど、精神年齢は楓よりも低いから」
と、弟の頭をポンポン叩いていた。
フレンドリーな雰囲気はやはり兄弟。相通じるものが伝わってくる。
一方歩仁内は、セットした髪の毛を乱すような兄の愛撫をうざったそうにはね除けるけど、それがおかしいのか、さらにグシャグシャと、頭を撫でられている。
そんな二人の雰囲気から、普段から仲のいい兄弟なんだろうというのは容易く想像できた。
人当たりも良さそうだし、人懐っこい感じだし、何より歩仁内と二人でキャンプの準備も済ませてくれるような段取りのよさ。恐らく機転もきくタイプだろう。
この人が保護者として付き添ってくれれば、問題なくキャンプを行えそうだ。
「まー、車出してくれりゃ助かるのは事実だしな」
俺の横でそう呟く修に、頷くみんな。
その表情は、緊張の糸がゆっくりほぐれていくように、柔らかくなっていく。
それは、州作さんの元来の人当たりのよさのなせる業ってヤツなんだろう。
歩仁内に負けず劣らず爽やかで、結構なイケメンで、気さくで面倒見のよさそうな兄貴タイプ。
……だけど。
そんな中、俺は何故か。ほんとに何故か、妙な胸騒ぎを覚えた。