the end of world-5
だめだ、やっぱりオレは神様からも見放されているのかなぁ、オレが何をしたんだ?俺は仕事を全て一生懸命に働いたではないか、残業手当もないのに夜中まで残業したではないか、それなのに、、、それなのに、、、
竜希の意識はゆっくりと闇の中に落ちていった。
できればもう目が覚めないでほしい、と願いながら。
トゥルルル、トゥルルル、トゥルルル、
電話の音で目が覚めた、神様は最後まで眠る事までも許してくれないのか、と考えながら電話にでる。
「こんにちは、居て良かったわ。」
それは間違いない、妻の絵里の声だった。
「絵里!絵里なのか!」
「そうよ、出来ればもう電話なんかしたくなかったんだけど、、、つぼみがうるさくて。」
「会いたい!今どこにいるんだ?」
竜希は切羽詰った声で問う、しかし絵里はすごく冷静であった。
「よく、そんな口聞けるわね、私たちほったらかしにしてたくせに」
「なんだと!?オレはお前らのために一生懸命はたらいてー」
「うるさい!」
竜希の話は途中で遮られた。
「一生懸命働いた?冗談じゃないわよ。そんなことわかってる、私が言いたいことは貴方は仕事ばっかりで帰ってくるのも遅くて、つぼみとも全然遊んでくれなかったじゃない!あなたは私たちのためじゃなく、自分の地位のために働いていたのよ!そのなあなたにつぼみと会う資格なんてあるの?」
「、、、、、、」
竜希は返す言葉がなかった。たしかに言われて見れば全然つぼみとは遊んでいなかった様な気がする。でもそれは家族のため、、、だと自分では思っていた、地位のためだったのか?
残業も上司との付き合いも全部?
「わかった、たしかにオレには会う資格なんてない、けれども、会いたい。自分勝手なのは十分承知の上でだ。」
受話器の向こう側は黙ったままだ。
竜希は最後に自分の精一杯の誠意を込めて言った。
「会いたい。」
「、、、わかったわ、もともとつぼみがうるさくて電話したんだしね。」
その言葉に竜希は心が躍った、つぼみに会える!
「ただし!条件があるわ。」
「なんだなんでも言ってくれ!」
「私たち家族三人の一番大切な場所で待ってるわ、そこを探し出すこと、タイムリミットは、、、あと3時間ってトコかしら、じゃあね」