第34章 3人が一つ屋根の下に暮らしている理由が分かったわ。3人とも正妻なのよ。-1
「さあ、ご褒美よ。ベッドへ戻りましょう。それとも、ここでする?」
「ああ、寝室へ戻ろう・・・落ち着いてひたぎを抱きしめたいからね」
ガウンを羽織りベッドルームへ戻ると、水晶がお茶とお菓子を運んで来た。
「お茶をお持ちしました。それから、ひたぎ様に瞳からのレターをお預かりしております」
水晶がレターを取り出しひたぎに差し出す。
「瞳さんから?」
封筒を開けるとレターと2本の鍵が入っていた。レターを広げると宛名も日付もなく、ただ1行の文字が並んでいた。
『あなたは、八蜜の血を受け止めることが出来るのかしら?』
「八蜜の血?どうゆうことかしら?」
昴に目をやると、明らかに狼狽している。ひたぎは、しばらくの間二つの鍵を見つめると、思いついたように顔を上げた。
「昴。一緒に来て!」
「あ、ああ・・・」
部屋を出ようとするひたぎを、昴が追いかける。
「ひたぎ、どこへ行くんだ?」
「あの奥の部屋よ!」
「分かるのか?」
「感じるのよ。あの奥の部屋に瞳さんがいるようにさえ感じていたの。あの部屋の鍵に間違いないわ」
廊下の突き当たりに他の部屋とは異なる重厚な扉があった。ひたぎがその扉に鍵を差し込む。鍵を回すと重い音を立てて鍵が開いた。重い扉を押し開け中へと入ると、そこには異様な空間が広がっていた。
天井から吊り下がる何本ものロープ。様々な拘束台。そして、部屋の中央には大掛かりな吊り仕掛けが垂れ下がり、その下の床には大きな浸みが広がっていた。壁際の棚へ目をやると、数々の拘束具にバイブレーター、電動マッサージ器に見るに耐えない排泄器官を責める道具までもが並んでいた。そして、驚くほど多くの鞭が並び、そのどれもがとても使い込まれたものだった。
それらを一つ一つ確かめながらひたぎが進んで行く。クローゼットの前で立ち止まる。鍵穴は見当たらない。クローゼットを開くと、数々のボンテージ衣装にロングブーツ。そして踵の先が球状になった奇妙なハイヒールが並んでいた。ひたぎが更に進んで行く。そして、鍵の付いたガラスケースの前で歩みを止めた。ガラスケースの中には白、赤、青、緑の4冊の厚いアルバムが納められていた。ひたぎが二つ目の鍵を使うと、カチリと音を立てて鍵が開いた。