8.女神の宣託-15
確かに男の精量は尋常ではない。だがそれを悠花が望んでいると思ったら大間違いだった。
「だっ、だから、それがキモいのよっ……、……んんっ」
悠花が言い返している間に、村本は悠花の腰を抱きつつ上に持ち上げ始める。すると静止していた下腹部で、引き抜かれていく傘が内壁を擦ってきて、ジワッと痺れて溶けるような感覚に体がヒクついてしまう。上へ上へと持ち上げられると、脚を広げて村本の下半身に尻を付いていた体勢では大腿筋が苦しくなり、膝を折って正座をする格好に変えなければならなかった。引かれていった男茎は、亀頭部だけが中に入っているところまで引き抜かれ、傘の鰓が悠花の入り口に引っかかっているだけになる。
「わっ……、や、ま……」
立膝の格好になって、更に男茎が引かれていく力を感じて、慌てて制止しようとしたが、構わず亀頭部が悠花の中から完全に引き抜かれた。
「んんっ!……やぁっ!」
男茎が去った瞬間、悠花の中に何度も注入された精液が一気に流れ落ちてきた。縛られたままの両手でデニムスカートの前を抑えようとするが、その程度で防げるような量ではなかった。下腹部にドボッとした感触があるや否や、白い粘液が胎内から村本の腿に向かって一気に漏れ落ちていく。悠花自身、これほどの量を注ぎ入れられてしまっていたのかと驚くほどに、数発分の精液が悠花の体から次々と溢れ出てきた。
「ふふっ、すっごいいっぱい出てくるよぉ、ザーメン。まさかカレシも、自分の彼女がここまで中出しされているなんて思ってもいないだろうねぇ」
「……!!」
自分の腿に物凄い量の精液が降り注いでいるのをニヤニヤしながら眺めながら、またバゼットのことに言及してくる。瞬間悠花は怒りが沸騰した。バゼットのことを言われるのだけは我慢できなかった。望んでバゼットに許していない膣内射精をさせたわけではないのに、まるで自分が恋人を裏切ったかのような言い草に、繋がれている両手を振り上げた。
握った拳で村本の顔に殴りつけようとした瞬間、驚くほどの力強さで抱えられ、脇に投げ下ろされていた。
「つうっ…‥!」
そこは畳の上だったから、最初に突き飛ばされたエアマットのように悠花の肢体の衝撃をあまり和らげてはくれず、腕を拘束されたままで受け身なく打ち付けられた。悠花が打ち付けた肩の痛みと、乱暴を受けたショックから回復しないうちに、悠花の腰を後ろから掴むとグイッと持ち上げるように膝立ちにさせる。
「イヤアッ!!」
顔を畳にこすり付けそうになって、必死に両手を体の下に入れて、顔が傷つくのを避けると、背後の方から声が聞こえてきた。
「じゃ、このカッコで犯すよぉ?」
と、膝立ちのときにズレ下がったデニムミニを、後ろから裾を掴んで捲り上げられる。後背位という体位があるのはもちろん知っていたが、今まで誰にもそのような体勢で抱かれたことはなかった。女を下位に組み敷くような体位に思えて、もし誰かに要求されたとしても絶対に応じないような体勢だった。
「や、やめ――」
両手が自由ならば、手をお尻の方に巡らせて侵入を防ぐところだったが、手首を繋がれていては侭ならなかった。容易く背後から再び入口に先端が押し当てられる。
「いやっ!! ……、やめろっ……」
握った両手を額に押し当てて固く目を閉じた。まるで土下座をしているような姿で犯される……、もはや相手が醜悪で軽蔑すべき村本である以上、何をされても屈辱を感じずにはいられないのだが、この体勢はこの男に服従させられるような気分にされて、より恥辱感が強かった。