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寝取りの騒ぎ、宵の両国
【歴史物 官能小説】

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寝取りの騒ぎ、宵の両国-7

 町奉行から老中へとこの事が伝わり、津軽江戸藩邸へ手が入れられた。厳しい追及で黒装束が津軽特有の刺し子 と分かり、腕に歯形の残る男も見つかった。くせ者五人はお縄となり、重い刑罰が下された。

 これで一安心と胸をなで下ろした権造は、お咲との仲もそろそろ修復しようと思っていた。そんな矢先、まだ夜 も明け切らぬうちに平六が慌てて駆け込んで来た。

「た、大変だ、親分。また、ふぐりの化け物が出ましたぜ」

「何だと。馬鹿も休み休み云えよ。奴ら捕まったじゃねえか」

「でも、本当に出たんでさぁ」

「いったいどこに出たっていうんだ?」

「おりん姉さんの芸者屋に……」

「芸者屋?……で、誰が犯られた?」

「おりん、姉さんが……、つい今し方」

権造は突風のように深川へと駆けていった。芸者屋のおりんの寝間の襖をがらりと開けると、そこには二人の芸子 にはさまれて、泡を吹いて失神しているおりんの姿があった。着物で裸体は隠されていたが、わずかに覗く陰部からは、女の漏らした喜悦の汁 と男の放った精液の匂いが立ちのぼっていた。

(おりんほどの女が、こんなになるなんて……)

権造はにわかには信じられなかった。芸子の一人が泣きながら言った。

「あたしたちが早稽古に来てみると、お姉さんがこんな様子で倒れていたんです」

権造はその場に座り込んだ。

(化け物騒ぎは収まったはずだ。それなのになぜ……。今度はもっと凄いやつが現れたってえのか)

 しばらくして正気を取り戻したおりんを介抱しながら訊いてみると、本物の巨大なふぐりと、見たこともない大 きさの陰茎の持ち主が襲いかかってきたという。そいつに目隠しをされ、夜中から朝まで攻め立てられ、さしもの彼女も失神に追いこまれたの だという。例の五人が捕まった今、考えられるのは猿まね(模倣犯)ということだったが、ここで、はたと思い当たることがあった。津軽越中 守の奥方も犯されたわけだが、津軽藩邸の侍が主君の奥方を狙うだろうか。いくらなんでも、そんなことはしないだろう。権造の頭の中で考え がぐるぐると錯綜した。

こ れはもしかすると、侍どものほうが猿まねで、最初から騒ぎを起こしていたのは別のやつだったのかもしれない。そういえばあの五人は、悪事 はあれが一回きりだと盛んに言い張っていたそうだが……。やはり別なやつがいるのか。そいつが真の下手人なのか。

「おりん、そいつの手がかりになるようなものは何かないか?」

鋭く訊いたが、彼女は弱々しく首を横に振った。

「あたいともあろうものが、大魔羅に夢中になっちまってね。今回は着ている物をちぎるという余裕もなかっ た……」

権造とおりんは二人してうなだれた。

「ただ……」おりんがふと顔を上げた。「なんだか妙な香りがしたね、あの男」

「どんな香りだ?」

「そうさね、医者の家か、薬問屋の中みたいな……、ともかく漢方薬臭かったね、あいつは」

「ふむ、そうか。それだけでも手がかりになる。ありがとうよ、おりん。おまえのかたきは必ずとってやるから な」

 勇んで出てゆく権造の背中に、おりんは言葉を投げかけた。

「あたいと、お咲のかたきだね。でも、化け物を捕まえても、殺すまで殴るんじゃないよ」




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