火照る肉体-1
外は吹雪の様相を感じさせる風が雨戸を叩く、義兵は重い腰を上げると勝手口を開けた。
すでに風呂場に通じるわずかな道も15センチほどの雪が積もり足跡はまったく隠れて消えていた。
「おーい、美奈子まだ風呂は出ないのか、雪が凄いぞ」
義兵は戸口に立てかけた竹ぼうきを持つと吹雪の中、急いで道の雪を掃いた。
まさかこの風呂場に男が忍び込み美奈子の肉体を欲しいままに犯しているとも知らない義兵は道を開けるとそそくさに母屋に入った。
「もうその辺でおやめください、義父に怪しまれます」
「そうだな、お前先に出てゆけ俺はゆっくり身体を温めていく」
まるで亭主気取りで美奈子に言った。
美奈子は湯舟から洗い場に出ると昭雄に再び汚された身体を慈しむようにタオルで拭いた
「もう二度と来ないでください、家族に知れたら困ります」
下着を着けながら美奈子は昭雄に言った。
「そう邪気にするな、お前さんもけっこう楽しんでいたんじゃないのか、その肉体が男を欲しくない訳がないだろう」
昭雄は湯舟に浮かんだ美奈子のモノと思われるちじれた陰毛を手ですくうとニッタリ不敵な笑みを浮かべた。
美奈子は無言で着物を羽織り帯を締めると戸を開けて義兵の待つ母屋に駆け込んだ。
「美奈子か・・長風呂だったな、猪鍋は俺が煮込んでおいた、今日はふたりだけじゃお前も呑めや」
美奈子も平静を装い義兵の差し出す熱燗の酒を受けるのだった。
「美味しい酒ですね、義父さんどこで買っていらしたの」
「この酒はな飛騨の 鬼ころし という酒じゃ、満州の友が教えてくれた」
義兵は湯上りの艶やかな美奈子と呑めるとあって上機嫌であった。
「こんな寒い夜はな、昔から猪肉を食って精をつけ酒で温まってカカアとアレをするんじゃ、アレじゃ」義兵は指で○○コする様を見せて美奈子をからかった。
「まあいやだ義父さんたら」美奈子は顔を赤らめ下をむいた。
「照れることないぞ、男と女のするこった、でもあの晩はすまんかった」
義兵はあの夏の晩の情事を美奈子に詫びた。
「いいえ、私もいけなかったんです。酒に酔っていて、つい義父さんに抱かれてしまって、一郎さんに申し訳なく思っています」
義兵はそんな自分に気づかう美奈子が愛しく思えた。
いつになく会話がはずみ義兵はすっかり酔って居間に身を横たえた。
時計はすでに11時をまわっていた。
「義父さんもう部屋で休みましょ」美奈子は義兵の腕をかかえてやっとのおもいで部屋に連れて行くのだった。
美奈子は洗い物を済ませると勝手口から風呂場の様子を伺った、電灯は消えあの男の気配はないのに安堵した。
戸締りをすると廊下から義兵の隣の部屋に入り髪を梳くと寝間着に着替え美奈子は布団に入った。
しかし身体の火照はいっこうに治まらなく寝付かれなかった。
そしてその火照りが美奈子を自慰に誘い込むのであった。