本日は決戦日-1
梶原 夏穂、出撃準備は万端です!
『本日は決戦日』
鏡の前で最終チェック。
マスカラはいつもの10倍で、泣いてもいいようにウォータープルーフ。
パウダーを少しして、チークはべピーピンク。
お姉ちゃんの4000円のグロスを少し唇にのせて、準備は完了。
いざっ、出陣!!
・・・・・・。
・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「・・・・・・・・・・・ダ、ダメだ・・・」
彼の学校まであとちょっとの所で足が止まってしまった。
と、とりあえず深呼吸をしよう。
1回・・・・2回・・・・3回・・・・・・
「ダメだよぉ〜緊張しちゃう〜〜〜!」
その場にへなへなとしゃがみこむ私。
我ながら度胸がない言うか何と言うか。
意気込んで来た割には、いつも本番で失敗しちゃうんだもん。
違う人に告白しちゃったり、本人の前で転んでパンツ全開だったり、
リサーチ不足で彼女がいること知らなかったり。
今回振られたら5連敗?
気持ちは十分だけど・・・・臆病になってしまう。
自分の気持ちを相手に伝えることに。
受け入れてもらえないツラさを知ってしまうと、そのツラさをもう味わいたくないと思ってしまうから。
「・・・よし、まずは落ち着こう」
鏡を見て今度こそ本当の最終チェックだ。
鏡を探そうとカバンを開くと、青いストライプのハンカチが目に入った。
ピシッとアイロンのかかったそのハンカチは、彼から借りたもの。
2週間前、大雨の次の日の帰り道。
彼の乗っていた自転車が泥をはねて、私の制服にかかっちゃって。
私は全然気がつかなかったのに彼が大慌てで近づいて来てさ。