夢しんリャク-2
に
「うーん・・・。」
真っ白い診察室――いきつけの精神科だ。週に一度、私の‘殺人談’を聞く先生が、いつものように軽く唸る。その頬はこけている…病んだ人間の相手ばかりで疲れるのだろう。
「まぁ、あまり気にし過ぎるのが一番良くないですよ。実際に、あなたがやっているわけじゃあないんですから…。」
ハハハと、努めて明るく笑っている。
「それに、少しは改善されているんじゃないですか?先々週は週に4回でしたが、先週は3回だけだったんでしょう?」
‘だけ’のところに妙なアクセントがついていた。もちろん‘殺し’の回数の話だ。ハハハハと、努めて明るく笑い返しておいた。
「とりあえず、不安を静めるお薬と、あと入眠剤ですね。いくら夢見が悪くても、眠れないのはお辛いでしょうから。前と同じように出しておきますんで、またしばらく様子を見ましょう。」
ぼんやりしていて気づかなかったが、処方箋を見てみたら、どちらの薬も5mg増量されていた。