凌辱の日々-5
――男は遊歩道へ出ると、昼間は人が集まる公園の広場へ向かう遊歩道を選んで歩き始めた。
真奈美の、苦労を知らない柔らかな両手の掌は、砂や砂利で汚れ、細かな切り傷が出来て血が滲んでいた。
そして柔らかく、きめの細やかな皮膚に覆われた両膝も、地面を這ううちにドロで汚れ、擦り傷が出来て少し血が滲んだ。
「ははは、四つ這いで歩く練習は、いい運動不足の解消になるぞ。腹のぜい肉も落ちて、シェイプアップにもなるんだ!」
男は適当なことを言って、真奈美の表情が苦悶で歪むのを楽しんでいるようだ。
「お、ちょうどすぐそこにトイレがある。そこで休憩だ」
あと、もう少し…… 真奈美は、ようやく休ませてもらえると思うと、ほっとしたのか体から力が抜けて、今にも崩れてしまいそうだった。
リードを男に引っ張られ、首輪が喉に食い込む。真奈美は、苦しさに急かされるように前のめりになって地面を両手で踏みしめながら、四つ這いの姿勢で何とかトイレの前までたどり着いた。
ところが、ハアハアと肩で息をしながら顔を上げた彼女の前には、なにやら汚らしい格好の中年男がトイレの入り口に立っていた。
でっぷりと太って禿げ上がったひげ面のその男は、そわそわとトイレの中を覗き込み、何かを探している様子だった。
汗の染みやらで汚れたTシャツ、擦り切れてあちこち穴の開いた長ズボン。
見るからに浮浪者のようだ。
「よお! おっさん。トイレかい? 丁度いいや、こっちの便器、使ってみねえか?」
男は急に大声で、その中年男に声をかけた。
(えっ……便器!?)
真奈美は四つ這いの姿勢のまま、その場に凍りついたように固まってしまった。
その中年男は唐突に声を掛けられ、ビクリとして振り向いた。
そしてキョトンとした目で、しばらく男と真奈美をかわるがわる見つめた。
「えへへえ、にいちゃん、ずいぶん可愛いペット飼ってるんだねえ」
そう言って、こちらに近付いてきた中年男の顔は月明かりに照らされ、徐々にはっきりと見えるようになった。
濃い無精ひげを一面に生やし、ニキビのような出来物が無数散らばる脂ぎった顔面は、ひどく不潔に見えた。
赤くニキビだらけの団子鼻、分厚い唇。
いやらしそうな切れ長の垂れた目には、何だか危険な鈍い光が宿っている。
男の顔はどんどん近付いてきて、とうとう四つ這いの真奈美の前に屈み込んで、彼女の顔を覗き込んだ。
にんまり笑った男の口元には、赤茶色い歯垢がびっしりこびりついた前歯がのぞき、よだれが顎を伝っていた。
「うえっへっへ、ずいぶん可愛いお嬢ちゃんじゃないの……今日は俺の好きにしていいってことなの?」
話しぶりから、どうやら二人は顔見知りのようだ。
嬉しそうに声を弾ませて、中年男は早速とズボンのファスナーを下げ、前をはだけ始めた。
「ああ、好きにしてくれていいぜえ。 特にフェラチオとイラマチオを教えてやってくれないかな。今、調教中なんだが」
「えへへっ、いいともさ。それはそれとして、下のお口は自由に出来ないのかね?」
「ああ、問題ないぜ。 中でも出し放題だ」
「にいちゃん、話せるねぇ〜」
中年男はニヤニヤ醜い笑みをこぼしながら、大男から手渡されたリードを引っ張り、真奈美を男子トイレに引き入れた。
そして、小便器の一つにリードをくくり付けると、真奈美を手繰り寄せて抱きしめた。
「そうそうそれと、コイツ喉が乾いてるから、出そうとしてるやつ、全部飲ませてやってくれ」
「がっはははーッ! にいちゃん、話せるねぇ〜」
中年男は真奈美を両腕と両脚でガッシリ締め付け、身動き出来なくしてから顔を近づけ、キスを迫った。
「あひーっ、く、臭いっ!」
中年男の吐息を間近で嗅いだ真奈美は、その強烈な口臭に頭がくらくらし、気が遠くなりそうになった。
「うひひひ、お嬢ちゃん、何が臭いって? さあ、言ってごらん?」
中年男は、爪に黒く垢の溜まったごわごわの太い指を、真奈美の口腔へと割って入れると、彼女の舌を掴んで引っ張り出した。
「ほお、薄紅の唇にピンクの舌・・新鮮で柔らかい・・そう、まるで極上のサーモンのようだ……」
そう言うと、男はべろりと自分の舌を出し、真奈美の舌に乗せると、そのままネロネロと絡ませ始めた。
「あふあ、あふッ!……ううっ」
男はさらに両手の指を真奈美の口にねじ込み、顎を大きく開かせると、男はその中へツバを吐きかけた。
「カーッ……ペッ! ペッ!」
みるみるうちに黄色や緑色の痰の混じったツバが真奈美の口内を満たし、さらには唇の周りや鼻、頬にも迸りがベタベタと付着した。
そして溢れた黄色い唾液が顎や首筋からドロリと垂れ下がった。