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好き…だぁーい好きなんだからっ!
【幼馴染 恋愛小説】

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彼の涙-4

僕はうっかり口を滑らせてしまった。僕の心臓病は叔父の癌に遺伝したとか小さい頃親族達の間で噂となり、しかもその噂は当たらずとも遠からず、とかで。故にその事実を知った叔父さんは、普段の豪快な勢いが一切失われ、父さんとなきながら一晩飲み明かしたとかで……。

急に重苦しい空気になり。

「ゴメン、無神経な事言って」
「いや、ホントの事だしよ」
「そんな、叔父さんは悪くないよ、僕はほらっこの通りっ、元気リンリンだからさ、今日だって学校でバスケをして」
「お前、しばらく見ないうちに、明るくなったな」
「へっ?」
「それもきっと、この子のお陰かな?そうだろ?」

まがまがと、元の位置に置いた写真立てを目にする。

「まぁ、彼女は何時も明るくて笑った顔以外見たことがない」
「ほぉ、何時出会ったんだ?何処で出会ったんだ?」
「それはぁ、川の綺麗な、んーそれはまた今度話す」
「名前なんつーの?」
「杏、織原杏」
「杏?杏奈の間違いじゃ、それじゃ「あん」って言うんじゃ」
「そんなの僕に言わないでよ、本人は生まれた時、そういう名前で命名されたって言うんだからさ」
「そっかぁ」

「ねぇ、久しぶりに会ったんだし、僕の絵、見て見てよっ!」

話を切り替え、本人の返事を待つ前に、大分前に描いた絵と最近仕上げた絵を、かき集めベットに並べる。

すると、先ほどのひょうきんとした表情が消え、真剣な眼差しでベットに並べれた6枚ほどの絵に目線が釘付けとなり。

「どう?僕の絵…」

彼は僕の問いに答える事無く、今だ絵を見つめ、そして。

「まだまだ…だな。」
「えっ?」

「確かに色使いや奥行きは良く出来てる、だが見るとまだまだ知識不足、これでは個展に展示するのは来るお客に申し訳ないくらいだ」

容赦ない棘のある言い草、でもその奥に、期待をしている感じがあり、中学の時、彼に見てもらった事を思い出す。

「でも、お前の絵から中学生の頃からもそうだが、愛情が感じられる、何事もまずそこからだ、簡単そうで難しくそして大事な事。こりゃ次会うときが楽しみだな」
「叔父さんっ!、うん、僕今度はもっと上手な絵を描く、そしていつか個展を開いて、その時は叔父さんがお客第一号にしてあげる!」

さっきから話していれば僕はなんつー子供っぽい話し方を、時より杏に「子供見たい」って言われた訳が何となく解って来た。

「ふふ、大きく出たな?よーし今度見る時に、どれだけ上手くなっているか確かめてやる
それで、期待通りなら、個展の件、ちょっと考えてやる。」
「ほんとぉー?約束だよー」
「あぁ、ゆぅーびきぃーり」
「それはやめよう…」
「うん。」


それから叔父さんは、夜も遅いから今日は泊まって行って下さい、と言う母さんの好意に
まだ仕事が残ってるからと、断り。僕らに見届けられ暗い夜道へと消えて行った。

「いいなぁー、お兄ちゃん、そんな豪華な物を貰ってぇ」
「いずみだって苺大福貰っただろ?苺大好きだし、豪華でしょ」
「まぁーねぇー♪」

単純

「はぁーあ、お父さん結局会えないで帰っちゃったぁ。いずみ、早く風呂に入っちゃいなさい。」
「はぁーい♪」

静まり返った居間、父さんは今宵、上司に捕まり飲み明かすようで。

「楽しみだなぁ、今度何時叔父さんに会えるんだろう」

未だ楽しい気分が抜けない僕は、つい思考もだれをし、それを耳にした母さんが呆れた顔で振り向き。

「何言ってんのよ、叔父さんを何だと思っているの?」
「えっ?いや僕は別に叔父さんを財布とか、毎週日曜6時放送の某国民的アニメの主人公のお爺さん何て思ってないよ!」

「そうじゃなくて叔父さん体弱いのよ、それをいちいち振り回すような事をして」
「同じでしょ、それは解ってるよ、だからさっきだって」

「それに、アンタだってこの先ずっと彼と会える何て事は」

母さんも当然親だから息子の病について理解はしており、その言い方は二十歳まではしか
会えない事をさしていて。

「でも、それはまだまだ先の事でしょ?心臓病とか大袈裟で」
「何言ってるのよっ!そんな軽く考えないでっ!」

突然怒鳴りだす母さん、一体何だって言うんだ?

「まだまだって、今高校1年でしょ?てことは卒業をする頃には、アンタは、もう」

この時の僕は母さんが何を言って居るのか、良く理解出来ていなかった。命の重さをまるで……。




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