歪な氷雪-6
雅治は身を乗り出し、こいつはかなりマニアックなDVDだなと思いながら画面を注視していた。
あの店長が推薦するぐらいだから、必要以上に期待してしまう。
「えっ?くちびる?ええと、こうですか?」
相手の指示に従って愛梨は小さく口を開け、唇に歯ブラシを添えた。
そこはかなり敏感にできているらしく、時々目をつむって照れ笑いを見せる。
「くすぐったいっていうか、ちょっと汗が出そう」
汗が出るくらい気持ちがいいと言いたいようだ。
最初は腫れ物に触れるように臆病でいて、けれども徐々に慣れてくると唇を舐めて真顔になり、歯ブラシをぺろっと口にふくんだ。
「うんん……」
官能を噛みしめる声がスピーカーから漏れてくる。愛梨の中で興奮がめまぐるしく起伏しているのかもしれない。
こんなに可愛い普通の女の子が、あられもない声を出して──と雅治の興奮も好調なスタートを切る。もはや勃起するのも時間の問題だろう。
「むふん、んん、んん……」
恍惚の表情で歯ブラシをくわえてもてあそぶ女の子の映像、こんな自慰行為を雅治は今まで見たことがない。
それに、唾液で濡れた愛梨の唇がだんだん女性器に見えてくる。
くちゅくちゅと出し入れされる歯ブラシでさえも、まるで大人のおもちゃのようだ。
「えっ?次はこっちですか?」
おさまらない今の状況を悟った愛梨が手にしたのは、女性用の電動歯ブラシである。
大丈夫、大丈夫、と自分におまじないをかけ、小刻みに振動するそれを口にした。
「あうん、うう……」
やっぱり若い女の子の声はいいな──と雅治は下心をふくらませた。生で聞けたらもっといいのだが。
そこでふと娘の顔を思い浮かべた。真面目な性格の美羽でも、こんなことをしたくなる時があるのだろうか。
それならばいつ、どこで、どんなふうにしているのか、父親らしくない妄想が雅治の中でどんどん増幅した。
アダルトDVDの愛梨はもはや歯ブラシだけでは物足りない様子で、大胆にも左手を股間に伸ばし、かなり恥ずかしそうにそこをまさぐっている。
誰に頼まれたわけでもなく、自らの意思でやっているようだ。
もし、この子が美羽だったら──と娘を思う気持ちがあっという間に雅治の陰茎を腫らした。