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歪な氷雪─いびつなひょうせつ─
【近親相姦 官能小説】

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歪な氷雪-5

 店を出ると雪がちらついていた。そういえば今夜は平野部でも雪が積もるようなことをテレビで言っていた。
 わくわくしているのは雪のせいではなく、おそらくDVDのせいなのだろう。

 雅治は身震いしながらマフラーに顎をうずめ、冬型の気圧配置がもたらした雪の中を家へと急ぐ。
 そして帰宅するとすぐにリビングの液晶テレビをつけた。
 どの局も報道番組をやっている時間帯である。トップニュースはやはり五輪速報のようだ。
 開会式の模様が繰り返し流れていて、日の丸選手たちの表情を逃すまいとカメラが寄っているのがわかる。

 美羽とおなじ十六歳の女子選手が笑顔で手を振っている。
 どこか夢を叶えた者の顔をしており、美羽もこんな表情をするのだろうかと、雅治はぼんやりしながらDVDの再生ボタンを押した。

 わずかな時差のあとに本編がはじまり、40インチの画面いっぱいに若い女の子の姿が浮かび上がる。
 カメラに映っていない誰かの質問に受け答えをしているようで、彼女の表情はまだ緊張を払拭しきれていない様子である。
 薬剤師を目指して勉強中だという彼女。いろんな意味でまだまだ卵というわけだ。
 しかしこういうビデオに出演するからには、その卵の殻を脱がなければならないだろう。

「愛梨です」

 はにかみながら仮名を名乗り、彼女は自身の異常な性癖を告白しはじめた。

「信じてもらえないかもしれないんですけど、こうやって歯を磨くだけで感じちゃうんです」

 そう言って愛梨が歯磨きの仕草をすると、雅治はたちまち興味を持った。ほんとうにそんなことが有り得るのだろうか。

「ドラッグストアとかに歯ブラシが並んでるじゃないですか。ああいうのを見てるだけでも、なんとなく恥ずかしい気分になっちゃいます」

 映像の中の愛梨は雅治の好みのタイプである。
 間もなく彼女の前にいくつかの歯ブラシが並べられ、それらを見た愛梨は両手で口を覆い、はうっと小さな声をあげた。
 どうしよう、どうしよう、という戸惑いが目に浮かんでいる。

 やがて右手が歯ブラシに伸びると、

「ここでするんですよね?」

と愛梨はしつこく確認する。


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