歪な氷雪-29
美羽、おまえは俺の生き甲斐だ──それを言葉にするのは照れ臭いので、雅治は態度で示そうとする。
美羽はずっと受け身を解かなかった。雅治が突き上げるたびに美羽は小さく嬌声をあげ、下顎を震わせた。愛されているという実感を体に刻んでいるのだろう。
不意に美羽の手のひらを雅治は見た。くっきりと浮き出た生命線に汗が滲んでいる。
俺より長生きするんだぞ──とその手を握り、太く長い息を吐いた。もう腰が言うことを聞かない。しかし精液を抜いてしまいたい。
そんなことを思っていると、美羽のほうから恥ずかしそうに腰を密着させてきた。
ぐちゅっ、と何かが溢れ出して滴る感じがした。
「気持ちいい……」
言った美羽が腰をくねらせると、その小さな局(つぼね)はどんどん愛液を分泌させ、ペニスにまとわりついて雅治を導いてくれる。
どうなったってかまわないと、美羽の目がそう言っている。
見つめ合うのはこれで何度目になるだろう。いたずらに噛みついてくるような娘の視線にあおられ、雅治もいたずらに性器を預けた。
夢にまで見た近親相姦はまさしく蜜の味だった。そして興奮が最高潮に達した瞬間、その精液は美羽の中に放たれた。
過ちを犯した父娘──そんなふうに後ろ指を差されながら暮らすつもりはない。世間の目を欺いて生きていけばいいのだ。
背負うものが大きければ大きいほど、安定した生活からは遠ざかっていくだろう。
しかし運命そのものを呪ったりはしない。そういう道を選んだのは自分たちなのだから。