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好き…だぁーい好きなんだからっ!
【幼馴染 恋愛小説】

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向き合う勇気-1

私は、机に散らばった、スケッチブックを、元の場所に立て、筆を走らせている彼らへ、邪魔にならないよう、奥で、少し埃が被った版画を払う。

この部屋へ、再び入る事など考えても居なかった。何故ならば私と彼はとっくのとうに、
別れたのだから、お互い傷つき合わない為に、愛しているからこその決断、それがお互いにとって最善の選択と思っていた。ダガ、菫に眉を立てられ、それを真っ向から否定され
仕舞いには、「逃げないでよっ!」何て怒鳴られ。それに、私自身彼と避けていて何処か心の穴がポッカリと空き、このままじゃいけないと薄々思い始め。彼が居る部室の戸に手を掛けた時、躊躇いはあった物の、そんな迷った気持ちを押し切り、ドアを開け。「誰?」って顔で振り向いた彼は、不思議そうに目を丸くし、予想通りの反応で。それから特に会話を、と言うか掛ける言葉も見つからず、引き返す訳にも、ボケーと突っ立て居る訳にもいかないので、彼と向き合う事しか考えて居なかった私は、咄嗟に掃除用具を手に、大して汚れても居ない部屋を掃除して。

時より、彼らの視線がちくちくする。

「あれ?図書室に風景画の載っている本があった筈だけど、どの場所にあったっけ?」
「何よ、昨日昼休みに場所教えてあげたじゃないの」

どうも伊藤サンに尻を叱れ気味の加藤君、見てらんないと、加藤君の目的の本探しに付き合う彼女、もしかして好意を抱いているとか?

「それは無いわ」

出た。

「何か用?」

そっけない声で、後輩二人が居て、聞けなかった事を訪ねる絆、人に話しておいて目線は
私では無く、目の前の画用紙にあり、どうやら花瓶の静物画を描いているようで。
 改めて、彼の方に首を向けると、顔が固まっていて、何かなと思っていると一言「ちょっと避けてくれる?」と言われ、振り向くと、その花瓶の前に立ちふさがっており
描写を邪魔している事に気づき慌ててその場を去ろうとすると。それに置かれた木箱にぶつかり、その衝撃で、バランスの崩れた花瓶が、私の足元に落ちて。

「あっ!大丈夫?」

その言葉を聞いて、何処と無く気持ちが解される。私の軽い危機を見て、先ほどまで目を釘付け集中してやっていた絵をあっさり中断し、大切な商売道具であろう筆をそこらに投げ捨て、私の元へ駆けつけ、暖かく絵で少し固い彼の両腕が肩に触れる。

「きず…な」

来て良かった、と思い。無事かどうかを確かめる為、視線を床にやる彼。足からヒンヤリ
とした感覚が。

「怪我は無い?」
「えっ、あぁうん、ちょっと靴下が濡れたけど」

無傷である事に、安堵の表情を浮かべる彼、その後ゆっくりと先ほど投げ捨てた筆を拾い何事も無く、座り慣れた椅子に腰を降ろし、再び筆を動かし、私は彼の先ほどの質問を答える。

「やっぱり、さぁ、こういうの正しい行為とは居えないんじゃないかなーって」

質問の答えにはなってないのかも知れない、ハッキリと想いは告げず、作り笑いを浮かべ
彼に問いかける。

「どういう事?」
「言葉の通りさね」

私の問いに思考を巡らせ、「一緒に居たって苦しい思いをするだけだよ」とこの前と同じ
返答が返ってくるが。今度は本気で、声を大にして言う。

「そんなの解ってるわよっ!アンタと居たらとても胸が苦しくなるのよっ!さっきのような優しさ温もりにもう二度と会えないって、今でも力が抜けていくしさ」
「だったらぁ」
「ケド、それが何?だからって絆と会えず共に過ごす事も無く、このまま死を待ち続ける何て、そんな事、そんな事…出来ないよっ!」
「杏…」
「私ね、決めたの、アンタと向き合おうって…、病気?心臓病?そんなの関係無いっ!
絆が好き、だぁーい好き、だからそんな病も丸ごと受け入れようって」
「駄目だよっ!そんな事したら君は」
「負けないよ、挫けたり何かしない。」
「でも」

彼へ告げる、と言うよりは自分自身への決意、今後絆の事で弱気にならないよう口に出して振り払い。
 ドアを開ける音を耳にし、二人が戻ってきて、私は話を打ち切り、一言捨て台詞を残し
部室を後にした。


仕方が無いでしょ?私はアンタの事が大好きなんだからっ!



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