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LOVE AFFAIR
【アイドル/芸能人 官能小説】

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6.幽囚-3

 バゼットのことを思い出さずにはいられなかった。なぜこんな時に思い出させるのだろう。
 悠花は下半身を露出している姿をキッと睨みつけると、
「卑怯者っ! ……最低、死ねっ!」
 と言い放った。
「くくっ……、そんな大きな声出したらダメだよぉ? 近所の人が不思議に思って見に来るかもしれないじゃないか」
 カッとなって大きな声を上げてしまったが、村本にそう言われると、思わず左右を見回してしまう。タクシーを降りる少し前、スーパーのレジ袋を下げた主婦や、犬の散歩をしている老人の姿が見えた。それに、うっかり自分の名前が会話に上がれば、このアパートの住人にも聞こえてしまうかもしれない。
「……、……マジで、キモい……」
 絞りだすようにして言って俯いた悠花の目の前で、村本は着ていたシャツとTシャツをも脱ぎ捨て、足首に引っかかっていたチノパンとブリーフを抜き取り台所の端へ蹴り飛ばした。
 村本は玄関先で全裸となった。そのまま腰に手を置いて仁王立ちになり、
「……部屋に入っておいで? 今日は瀬尾悠花ちゃんのカラダを自由にしていいんでしょ? 自分で言ったんだからね?」
 と、トイレで無理やり言わせた言葉を、まるで悠花が自ら望んだかのように言った。
 顔を上げると目の前には異質な人間が居た。どう不摂生をしたらそんな体型になるのか、あまり肩幅がなく、細い腕を腰に置いている上躯から下方へ辿って行くと、ヘソの腹回りまででっぷりと緩んでいる。白めの肌に黒々とした体毛が、胸からヘソへ、そしてヘソ下から股間へ渦を巻くように生えており、同じく太ももの毛も上へ行くほど多くなり、股間を中心に密集している。しかも先程の爆発で漏れ出た精液によって、一部の毛間に白みの粘体を残してベットリと体に張り付かせていた。
 その濃毛の中心から突き出るように、男茎が真上に向かって屹立しており、何も触っていないのに脈動によって、ビクンッ、ビクンッ、と弾んでは、傘の大きい亀頭と長く反り返った幹のせいで左右に揺れている。
(うそ……。うわ……、ちょ……)
 トイレで見せられた時に、包茎だということは気づいていた。しかしこれまでコンドームをしていたから詳細までハッキリと見えていなかった。コンドームが取り外された様を目の当たりにすると、皮が寄り集まっている亀頭の首周りから陰嚢へ向かう筋、そこへ蔓延るように、粘液によって溶解した恥垢が白くベッタリとこびりついていた。
 包茎はクサい、それは恥垢が溜まりやすいから――、モデル仲間で飲みに行ったときに、女同士の下卑話の中で、酔っ払ったモデルの一人が言っていたのを思い出した。今、目の前にある男茎は、彼女の言っていたとおり、いやその時の表現以上に汚らしい粘りがまとわりついていた。
 その異様な姿に向かって、足が動かない……。
「早くぅ」
 スマホを取り出して悠花に見せた画面には、例のアップロードサイトが表示されていた。
「ちょっ……!」
「早くしないとぉ、本当にアップしちゃうよぉ? あと5秒以内ね。ゴォ〜、ヨ〜ン、サ〜ン……」
 カウントダウンが始まる。「ニ〜」と言うと、男の指が"Publish"ボタンに触れそうになるのが見えた。
「やめてっ!」
 と言うと、悠花はブーツを鳴らして二歩進んでいた。そこは靴が並ぶ玄関だった。
 悠花は、自ら、男の部屋に足を踏み入れた――
「……自分でドアと鍵を閉めて? ……ニ〜……」
 それでも男はカウントダウンをやめない。悠花は振り返って手を伸ばし、ドアを閉めると、ドアノブについた鍵に指をかける。一瞬、躊躇したが、背後から「イ〜チ」と聞こえてくると思わず手首を捻っていた。


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