幽体交歓-2
壁に耳を当てると、かすかに隣室の物音が聞こえて来る。だけど1人暮らしっていうのはワイもそうやけど、殆ど会話もないし物音もそれほどしないもんなんや。
だから1時間に一回くらい『コトッ』とか『カタン』とかいう音を聞いただけでも、ワイは心臓が飛び出そうに興奮するんや。
ああ、あの娘がきっと何かを動かした音やなあって、それだけで存在を感じて胸がどきどきするんや。
そのうちワイは眠くなって来る。当然と言えば当然のことやけど、それからが大変なんや。
ワイは正直起きているか寝ているか分からん境目にいるんや。すると体が軽くなってフワリと体を起こす。そしてゆっくりとワイが寝ていたところを見下ろす。するとそこにはワイが寝ている。ワイは隣室を隔てている壁に向かって通り抜けようと体を近づけるんや。
でも気がつくとワイはまたベッドに横たわっている。そしてもう一度体を起こすんや。そして壁をぬけようとする……。
駄目なんや。以前も幽体離脱して町で見かけた素敵な女の子の所に飛んで行こうとしたことがあったんやけど、天井や壁を抜けようとすると、本体に引き寄せられて戻ってしまうんや。そしてまた体を起こして家から脱出しようとする。つまりこの繰り返しなんや。
女の子が好きになるとワイには必ず幽体離脱現象が起きるんや。けれど寝ている場所から外に出たことは今までただの一度もないんや。
ワイは何度もやって諦めて、失敗する前に自分で本体に戻ることにした。すると全身何か違和感がおこったんや。自分の本体やのに、何かヌイグルミを着ているような変な感じや。ワイは自分の体を動かしてみた。すると本体が動いた。ゆっくり体を起こしてベッドを見ると誰もいない。
つ……つまりワイは魂の力で眠っている自分の体を動かしたことになる。これって夢遊病と同じことになるのかいな。ワイは今度は再び自分の体を横たえて魂だけ起きるようにした。そしてそれが成功すると、今度は息を吸って吐きながら壁を通り抜けようとした。そして、成功したんや。
ワイの目の前にネグリジェを着て寝ている娘がいた。ワイはそっと胸の膨らみに手を当ててみた。するとや、変なことが起きたんや。
ワイの手は体の中にめり込んであっという間にワイ自身が彼女の体に吸い込まれたんや。ワイの体はその娘の肉体と同じ場所に重なってるんや。そればかりかその娘の魂の体……つまり幽体とも重なってる。つまり憑依現象みたいになったんや。
これはワイとしては初めての経験やった。今のワイは幽体なんやけど、男の肉体感覚を記憶として持ってる。そやけど同時に女の肉体とその感覚も持ってるんや。
ワイは自分の胸の膨らみを感じて興奮してしまった。そして子宮の疼きまで感じてしまったんや。
同時にワイは股間が勃起する感じを覚えた。きっと隣室で寝ているワイの本体は勃起してるんや思う。
そしてワイの本体にできたことが、この娘の体にもできることがわかった。何故ならワイは体を起こそうとして、娘の体を起こすことができたからや。
ワイはベッドから降りてバスルームの方に歩き出した。もちろん歩いているのは娘の体や。電気をつけてワイはバスルームの鏡に映る娘の全身を見た。綺麗や。うっとりする。でもこれはナルシシズムとちゃうで。男のワイが女の体を見て欲情してるだけやから。
ワイは鏡に近づいてネグリジェを脱いだ。するとパンティだけの娘の裸体が現れた。ワイは娘自身の手で乳房を掴んでゆっくりと揉んでみた。気持ち良いんや。そして乳首を指先で摘んでくりくりと揉んでみた。か……感じるんや!
と同時にワイの男根も固くなって来た。女の性感と男の性感を同時に感じているから凄く気持ち良いんや。ワイはパンティの上から女の割れ目を指で撫でてみた。ゾクゾクッと背筋に寒気が走った。感じてるんや。
ワイはパンティを脱いでから浴用の椅子に座って股を開いた。そして指で開いてあそこをよく観察した。大陰唇のところにホクロがあった。そんな発見にワイは胸がときめいた。そしてフードをめくってクリトリスを剥いたときには、宝石を発見したような喜びになった。