濡れた身体で雨宿り<後編>-7
「わ、悪ぃっ 我慢出来なくて先にイっちまった……」
私の背中をティッシュで拭きながら、悠二がそんなことを呟く。
「……い、イったよ?」
「うん?」
「わ、私もその……一緒にイった……もん!」
「……!? そかっ はは、良かった、一緒にイけたんだ!」
にっこりと微笑むその笑顔に、急に恥ずかしくなって顔が熱くなった。
ペタリとうつ伏せになったまま、力無くベッドに沈む私。
悠二はといえば、私のシャツを綺麗に直しながら、
そっと身体を隠すように布団を掛けてくれていた。
情事の後のちょっとした優しさ。
悠二のこんな姿、あたりまえだけどはじめて見たわけで、
何気ない事なのに、不思議と胸がキュンと締め付けられてしまった。
私の頭を優しく撫でながら、ふぅっとひと息、肩で息する悠二。
ティッシュを手に取り、今度は自分のを綺麗にしようとしているみたいだけど、
なんとなく、私はその手を握り締めては顔をあげた。
「どうした?……あ、綺麗にしてくれるのか? なんて♪」
悠二はきっと、軽い冗談のつもりだったのだろう。
そういう事をした後だからこそ言えるシモネタ。
普段だったらセクハラ上等、
本気の平手が悠二の頬を叩いていたとこなんだけれど……
「……え?あ、おいっ 冗談だって…… んっ」
ずりずりと重い身体を引きずりながら、
あぐらを掻いてる悠二の股間に顔を埋めると、
すっかり小さく頭が垂れ下がったそれを、そっと唇で咥え頬張る私。
手は重くてあがらないから唇でだけ。
ゆっくりと頭を上下に振りながら、
茎に舌を這わしながら、
根元まで濡らし──私なりの後戯を尽くした。
ちゅぽんっと音を立てながら、唇からそれを解放してやると、
どうだと言わんばかりに悠二の顔を見つめる私。
「うえぇ……なんか変な味するよぉ……」
「んなっ!?く、比べてんじゃねぇよ!」
「比べる?私、口でしたのなんか初めてだよ?」
「はぁ?初めてっておまえ……えぇっ? な、なんで俺なんかにっ そのっ」
ちょっとした告白なのに、悠二はえらく動揺した様子だ。
初めてづくしのセックス。
いくら元彼がいたからって、いくらエッチした事があるからって、
だからといってなんでもを経験しているわけじゃない。
恥ずかしいものは恥ずかしいし、嫌なものは嫌だったから。
ただ、悠二とは全然嫌な気がしない──ただそれだけの事だ。