濡れた身体で雨宿り<前編>-8
「ほんとだ……すごく、熱くなってる……ね」
ゆっくりと、その形を確認するように、私は右手で悠二の陰茎を撫で上げた。
さっきよりもはっきりと感じる。
太さも、長さも、そして思っていた以上の堅さも。
私は少しだけ悠二に身体を寄せた。
互いの息が届くくらいの距離。
おでこが当たりそうで、鼻先はすでに何度か擦っている。
「私も……風邪、うつっちゃったかもしれない?」
「……暑いのか?」
「ん、ちょっと身体が……熱もっちゃってるみたい……」
火照る身体を差し出すように、悠二へと胸を突き出すと、
視界の向こう側でひとつ、またひとつと、
シャツのボタンが外されていくのがわかった。
大丈夫、布団のなかの出来事だもん。
誰にも、悠二にさえも見えてないはず。
寒いから布団にはいっているだけ。
いつもよりちょっと近いけれど、目を見て話をしているだけ。
言葉数が少ないから、唇が乾いちゃっていたから、
ただ潤いが欲しくて──唇を重ねただけだ。
「……マジで風邪うつっちゃうぞ?」
「平気だよ?それより濡れっぱなしの方が……風邪引いちゃうもん」
私は悠二の手を取り、自ら濡れた股間へと当てがわせた。
「すげぇな?すっかりずぶ濡れじゃん?」
「仕方ないよ……夕立だもん」
「濡れた服着たままだと風邪ひくんじゃねぇか?」
「そう思うんだったらさ…………はやく、脱がせてよ?」
そう言って私が腰を上げると、するすると下着が肌を離れていくのがわかった。
「これも最初から乾燥機にかけてればよかったな……って、いててっ!」
悠二の意地悪な言葉を聞き、私は思わず右手を強めに握り締めた。
「悠二の傘だって……濡れてるじゃん!」
先端を指で撫でながら、粘り気のある体液を引き伸ばす私。
「……っ!仕方ねぇだろっ こんだけ雨降ってたら傘だって濡れるさ」
「くすくすっ それ、まんまじゃん!全然上手く言えてないよ?」
私はそう言って笑いながら悠二にもう一度キスをした。
悠二の手がいつの間にか私の身体を抱き締めている。
友達の距離ってどれくらいだっけ?
相変わらずそんなどうでもいいことを考えながら、
気がつくと私もまた、龍二の背中に両手をまわして抱き締めていた。