濡れた身体で雨宿り<前編>-2
「……何じろじろ見てんのよ?エッチ!」
「ばっ、見てねぇよ!」
虚勢を張ってそんな事を言ってみるも、余所余所しさを隠せないのは私もまた同じ。
学校はもちろん、部屋でこうして二人っきりになるのは初めての事じゃないのに、
着ているものが違うだけで、こうも意識してしまうものだろうか?
「……くちゅん!」
突然、思わずしてクシャミが出てしまった私。
指で鼻を擦りながら、何事も無かったかのようにやり過ごそうとするも、
「おい、やっぱり寒いんだろ?ったく、無理すんなよな……」
そう言って腰を上げ、私をベッドへと引き入れようとする悠二。
「ふぇ?」
「風邪引かれたら困るからさ、布団の中にでも入ってろって」
「ちょ、いいってば!あんたこそ風邪引いているんだから……」
「いいって!チラチラと見たくもねぇものが見えて……目のやり場に困るんだよっ」
その言葉を聞くや、私は慌てて両手でシャツの裾を抑えた。
やっぱり見えていたのか……恥ずかしい。
もそもそと身体を移動させては、布団の中に潜り込む私。
「わ、悪かったわね……変なもの見せて!」
布団から顔を出し、悠二を見ながら虚勢を張るも、
恥ずかしくて顔が赤くなってやしないだろうか?
いや、そんな事よりも……
今日履いてる下着は、確かおろしたての白いヤツ。
生理もまだ先だから汚れてなんか無いだろうし、
でも、生地が薄いヤツだから透けたりしちゃってなかったかな?
たかが布切れ、されど布切れ、
考えれば考えるほど、気になってしまってしょうがない。
「ヘックション!」
私がそんな馬鹿な事を考えていると、突然、豪快なクシャミをしては鼻を啜る悠二。
すっかり忘れていた。
私なんかより、悠二の方がよっぽど重傷なんだった。
「ちょ、あんた風邪ぶり返してるんじゃない?やっぱ私はいいから布団入りなよ?」
そう言いながら、慌てて布団を出ると、急いで悠二のもとへと歩み寄る私。
けれど、そんな私を見るや悠二は、
見る見る顔を紅潮させ、視線を大きく外してしまった。
「ちょっと、何してるのよ?早く布団に入りなってば!」
「だ、だからっ 見えてるって言ってるだろうがっ」
私はハッとなり、自分の姿を見下ろした。
ペロリと捲れ上がったシャツの裾から覗き見える白い下着、
無造作に大きく開かれた両脚がまた、なんともまあ、はしたない。
「う、うるさいっ!いいのよ別に……減るもんじゃないんだからっ」
「減るもんじゃないって……お、俺が恥ずかしいんだよ!」
「んもうっ!とにかくお布団に入りなさいってば!」
「るせぇ!おまえこそ布団に入ってろって……」
「ああもうっ!んじゃ、一緒に入ればいいでしょ!」
売り言葉に買い言葉、ああ言えばこう言う、
私はつい、そんな事を口走るも今更後には引けず、
強引に悠二の手を引いては、一緒に布団の中へと潜り込んでしまった。