これでいいんだ、これで……-3
「預かって欲しい?」
「うん!ウチらの部、荷物が色々と多くてさぁー」
「ちょっとで良いから、長谷川君とこの部室に置かせてくれないかなー」
そう絆の席で言い寄る女子二人組み、昨日の目のキツイ連中だ。二人は愛想良く申し訳
なさそうに彼に頼み事をしている様だが、私は知っている。こいつらは鼻からそんな
罪悪感は無く、二人の所属する合唱部で、その部室が散らかっていて不要な物を処分 するのが面倒臭く。つまりゴミを人の部室に押し付けようとしてるのだ。
前にも同じ事があったので解る。心の優しい彼は断る事も出来ず、引き受けその結果
大事な部室が汚れ、彼の後輩二人も「邪魔だなぁ」「何この産業廃棄物」と苦情を
訴え。彼自身も二人以上に、影で暗い表情を浮かべ苦しんでいた事を知っている。
「ねぇ!置かせてくれるの?くれないの?」
「いや、だってそれは…」
「何よ!まさか断るつもり!?」
近くで、そんな態度の悪い二人組みを睨みつけ、ボソボソと口を動かす別の女子、
ちょっとありがたいけど、助けてくれる様子は無く。
「いいでしょ?別に、部員3人しか居ないんでしょ?」
「それも狭いし、どーせならボランティアくらいした方が」
はー、言うに事掻いて、もー頭来たっ!
私はツカツカと奴らの元へ向かい。
「ちょっと、黙ってないで何とか、ギャ!?」
ある程度ゴミの入った袋を、そのまま二人の顔面目掛けてぶん投げた
「なぁーにすんのよっ、このバカ女!」
平均30人のもクラスで一人か二人いる、自分を気に食わないいじめっ子、こいつらも 例外無く入る。入学式から明るく飛びぬける私に序所に、一方的な嫌悪感を抱き続ける
二人、事あるごとに、文句を言って来て。でも私は悪く無い、他のクラスの子も「掃除を押し付けてくるの」とか「我侭で傲慢だ」と評判は悪く。
「べーつにぃ、ただ要らない物があるんだったらそれにでも入れれば良いダケじゃんって話だし、部活に熱中してる人の部屋に、そんな物を置いていいのかって事だろさ」
「はぁ?ちょっと期間置かせて欲しいって言ってるダケじゃん」
「そーそー、悪いとは思ってるのよ?」
「杏、いいよ別に。」
「絆は黙って!、何が…とてもそうには見えませんが?」
「んだとこらぁっ、あたいらがこいつの部室に余計な荷物を押し付けてるってか!」
「だって事実じゃん」
近くにいる味方の女子も、ウンウンと頷き。
「てぇんめーホントムカつくなっ!」
「だったらなんだよ、悪いか?、そんなゴミだらけの狭い豚部屋に捨ててよー」
「ご、ゴミだらけ!?」
大切な美術道具を侮辱それ、反応する彼、ダガその怒りは私も同じ
「あぁ部員含め、何もかも、ごほっ!?」
奴らの腹部に、強烈なストレートパンチをお見舞いしてやった、彼の怒り悲しみの分
それにより床に背中が叩きつけられ、机も派手に倒れ。
「こぉんのアマ、何しやがるっ!」
頭に血が昇った二人は当然の如く私に突っかかり、それからは乱闘騒ぎとなり、気の小さい絆は、この状況を体を張って制止はしようとはしてるが間に入る事はなく、代わりに
近くでジッと見てた味方の女子が止めにはいり、お互い体を抑えられ、両者息を荒げ
鬼の形相で、二人組みは私に言い放つ。
「織原!おめー、こいつと別れたんだろっ!?関係無いんじゃねーのかよっ!」
昨日の話を覚えていて、痛い所を突く、しかし。
「そうだよ!確かに縁を切ったよ、でもそれは彼が嫌になったからじゃないっ!私は今でも彼の事が好きよ、だからこうして影ながら支え応援し、幸せを願ってるのよ!」
「!!?」
私の想いを知り、ハッとする絆。
それからは、授業が始まる前に、急いで皆で机を直した。あの二人は、目を真っ赤にして
棘棘しい視線を刺され、まぁどうもしないけど、私はね。