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好き…だぁーい好きなんだからっ!
【幼馴染 恋愛小説】

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これでいいんだ、これで……-2

ダガ、そんな私の、ガラスなハートに、ヒビを付ける出来事を目にする。

それは、何時もの通学路で。片翼に布が縛られた、1羽のスズメが、ぎこちなくではあるが、大空へと羽ばたいてく姿を目にする。そして視線を元に戻した先に、柔らかい表情で先ほど飛んで行ったスズメのいる方向を、目を潜め、見つめる少年の姿が。
 
「絆…。」

スズメに付いた布、それは彼にとって貴重な画材、そう思うと胸が締め付けられる。

別れたと言うのに、やり直す事など、出来ないのに、こんな。


揺れる想いを、刺激させるのは、教室でも同じで。休み時間、菫と、仲の良い友達との 3人で、菫の机に集まって他愛も無いトークで盛り上がっている時だった。

「それでさー、篤志が急に映画観に行こーって言い出してさぁー」
「へぇー」

普段ならこんな会話で、どうとも思わないのだが、今回に限っては、何故だかその手の
話題に、嫌悪感を覚え。次に、私が彼と映画館とかに行かないの?って話を振ってきて  事情を把握している菫が、その話を制止しようと体が動き、自体を理解していない彼女
は、悪気も無く、ずかずかと「カップルだと、割引になるんだってぇー」とか言って来て
先ほどからあたふたとする菫はさて置き、私は一度呼吸をし。

「彼とはもう別れましたぁー!だから関係無いのっ。」

その怒号に、目を丸くする二人。その奥で、金髪カールが派手な目のきつい女子2人組も
一瞬こちらを見つめる。


優雅に大空を泳ぐ白い雲、下校をするクラスメート達。普段帰宅をする際に横切る公園
 何の気に無しにその公園に顔を向けると。

「あっ」

見慣れた後ろ姿を目にし、美術道具を広げ、何か黙々と筆を走らせていて。私は、その場所へ足を運び。

「なーにしてんのっ?」

普段の明るさを2割程度押さえ、ちょっと落ちついた声で、両腕を後ろに下げ、肩を揺らし。最初は何事かと無言で振り向いた彼も、私と目があった途端、顔が緩み。
 誰かを確認し、ホッとした彼は、再び絵に目線を戻し、口を開く。

「ちょっと、ね。」

覗いて見ると、そこに見た事のある光景が

「これ、青空?」
「うん」

そう軽く返答する彼の声は明るく。

「空ってさぁ、身近にある1番の芸術だよね。」
「そりゃー、そうかも。」

やっぱり彼と居ると落ち着く、下着姿で肌が痛みつけられいる中、厚い毛布に包れる感じ
私は彼が好き、これは今でも変わらない感情。しかしその後確実にやってくる心臓病と
 言うワードが、嫌でも想い返され。

彼と私は別れたのだ、絆は、これ以上自分のせいで大好きな私が苦しんで欲しくないから
……愛しているからこそ、別れを告げられ。

ならば今の状況は何なのだ?何故別れた人間とこうして普通に会話を交わしているのか
その理由は、とてもシンプルな事、それは。


彼の事が今でも大好きだからだ!


「それじゃー頑張ってね」と他愛も無い言葉を掛け、彼に背を向け、後ろ髪を引かれる
 思いを抱きつつ自宅へ向かった。

その悲しげな背中を、下校途中の菫は目にし、彼女も絆の姿を見て眉を潜める。

「杏…」





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