4.無知の罪、知の虚空-9
「……ちょっと」
悠花が呼びかけるまで、夢の世界から抜け出せずにいたが、やっと我を取り戻した。最後に大きな息をついて、股間のコンドームを外し始める。
「はあっ……、くっ……、ど、どぉ、だったぁ? お、俺のしゃ、射精……」
男の射精は、自分に対する劣情が凄まじいということを物語っていた。悠花は男が自慰をしている所など見たことはなかったが、握って扱く、ということくらいは知っている。
それだけに、目の前の男が根元に手を置いたまま、男茎に直接触れないで射精まで到達したことに、内心大きな驚きを禁じ得なかった。同時に、底知れぬ不安にも見舞われ始めていた。
「……。別に。……最低の物を見せられて、キモいだけ」
だが悠花は心の中で後悔していた。
視界の端に映る、新しいコンドームを装着している男の姿を見る限り、放出したばかりの男茎は、最初見せられた時と大きさも角度も全く変わらず屹立している。
――1回だけ我慢すれば終わる。
その考えは甘かったと言わざるを得ない。男がわざわざ「思う存分」と指定してきた意味は、全く萎えていない男茎がよく表していた。