投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

しあわせの衣擦れ
【熟女/人妻 官能小説】

しあわせの衣擦れの最初へ しあわせの衣擦れ 6 しあわせの衣擦れ 8 しあわせの衣擦れの最後へ

除夜の鐘-1

12月29日、千恵は旦那を送り出す。大きな会社の宴会で海外旅行が当たったと嘘をついた。旅券を渡し、旦那を四泊五日で韓国旅行のツアーへ行かせる、空港で一泊の予約と多少のお小遣いを持たせて。

千恵は旦那を見送ると急いで彼に電話をかけた。が、留守番電話になっていた。クリスマス・イブに電話を切ってから一度も連絡をしていなかった。「無理かな?」千恵の目が涙ぐんだ。

結局、彼と連絡がとれたのは大晦日だった。少し怒った口調でよそよそしい彼に千恵は何食わぬ様子で接近を試みた。彼は押されて千恵が家に来る事をOKした。
「うふっ、来ちゃった。久しぶり。」ダウンのロングコートを着て玄関に立った。

「その節は大変お世話になりました。すっかり良くなりました。普通の生活に戻りました。」やっぱりよそよそしい。

「上がっていい?」コートを脱ぎ、ブーツのファスナーを下ろした。

「・・・・」彼は無言でリビングへ行く。千恵も後について行く。部屋は綺麗に片付いていた。

「なんか、怒ってる。私の事嫌いなんでしょ?」千恵が口火を切る。

「しかたない事なんだって、やっと思える様になったんだ。ごめん、結構きつかった。」真剣に彼が胸の内を話しだした。
「人の奥さんに自分で勝手にのぼせて、感情入れ込んで、、ドキドキして、、、辛いよ。やっぱり無理、不倫は駄目。夜なんか変な事考えたりして眠れなくなって、大人が何やってるんだ!って言い聞かせても、気持ちが勝てないんだ。事故で身体怪我して、今度は心の事故に遭った感じ、どうしていいかわからないんだ。」彼はアラジンの石油ストーブの青い炎を見つめながら苦しそうに話した。

「心せまっ!そんな狭い心じゃなかったじゃない。小さいよ!もっと大きな心してたのに?」千恵は彼の気持ちを逆撫でして、仲直りのきっかけを探した。

「そう。自分でもわかんないけど・・・・」彼が口を開いたとき、千恵が飛びついた。全身で彼を抱え込み、思いっきり抱きしめた。

「もういい。ごめんなさい。止めて、男の人からこんなに思われたの初めて。なのに辛い思いさせて、私がどうしていいかわからないの。何でもする、あなたの為に何でもするから思いつめるの止めて。」千恵は涙をこぼした。

「千恵さん・・・・。」

「千恵でも、おまえでも、オイでも、何でもいいよ。私の事好きな様に呼んでいいよ。」千恵は彼の胸に顔を埋めて泣いていた。

「千恵さん。千恵さんには家庭があるでしょ?駄目ですよ。」彼は冷静になった。

「うんんん、じゃあ、千恵の事みんな話すから、話し聞いて。」そう言って二人でソファーに座る。千恵の目の周りは化粧が崩れて真っ黒になっていた。鼻水が止まらない、ハンカチで何度も拭いた。
「私ね、確かに結婚してるけど、なんでこんな生活してるんだろ?っていつも思ってるの。前は感じなかったって言うか、気がつかなかったんだと思う。三年前にコンパニオン始めて派手な格好する様になったら、旦那まで喜びだして、まるで風俗と勘違いして色んな事言い出したの。嫌だった。家計が苦しくて始めたのよ。旦那ってなんなの?って思った、離婚だって考えたわ。でも獣みたいな人で話し聞いてくれなくて、はっきり解ったのは、この前のクリスマス。あなたと雲行きが怪しくなった夜。旦那が迎えに来た時に「嫌な夜」って思った。あなたにすごく逢いたかった。」千恵は続けた。
「水商売してると派手でしょ?生活も派手って思われるんだけど、古く狭い借家に住んでて、家の中は散らかって、ケジメがなくなるって言うか、兎に角だらしなしのよ。そう言うのが嫌で改めるんだけど、旦那がいると無理ね。賭け事とお酒ばかりで自分勝手な事されるでしょ、いつ寝ていつ起きるのかもわからないし、まるでチンピラなの。家庭ねー、なんなんだろ?実際の私はそんなだらしない生活してるの。」千恵は生活のありのままを言葉にした。

「そんな風に見えないけどなー。最も初めて逢った時に結婚してるって聞かされてショックだったんだから、独身に見えてたんだ。」

「仕事の時は気を張ってるから。まだ話す?聞きたい事きっといっぱいあるよね。眠れなくなっちゃうのはアレでしょ?セックスねー。しないって言ったら嘘になっちゃうけど、、話ししたら嫌な気持ちにならない?」

「今すごくドキドキしてる。聞きたくないけど聞かない方が苦しいと思う。話して。旦那ってどんな人?」


しあわせの衣擦れの最初へ しあわせの衣擦れ 6 しあわせの衣擦れ 8 しあわせの衣擦れの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前