投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

渚 一景
【その他 官能小説】

渚 一景の最初へ 渚 一景 1 渚 一景 3 渚 一景の最後へ

滄海-2

「クーラー効いてきたんじゃないかな。車に行こうか。涼しいよ」
「うん。いきましょ」
ぼくより先に立ち上がって手を引いた。

 ドアを開けて、ふと思いついた。
「後ろで寝られるよ。広いから」
座席を倒してフラットにするとゆったり横になれる。
(この子とそこで……)
ぴったりくっついて話をしたい。抱き締めたい想いよりもとにかく一緒にいたい気持ちが逸った。
「お昼寝できるの?」
「できる。二人寝ても悠々だよ」
だが、やってみて方法がわからず、仕方なくリアシートを倒して寝転がった。
「後ろだと平らになって広くて気持ちいいんだ」
「これでもいいわ」
少女は仰向けになって若い肢体を伸び上がらせた。

 ぼくが横になると少女も横向きになって腕を絡ませてきた。まるで愛し合う男女が求め合うように。だが表情は何ら変わらず、清々しい。
「涼しいね」
自然とぼくたちは抱き合う形になった。それは本当に、ごく自然に。……
 ぼくは昂奮していた。だが、少女は別のことを考えているように微笑んで、ときおり目を閉じた。

(可愛い……)
息がかかるほど近くに顔を寄せた。睫毛が長い。
(この可愛い子に……)
胸の膨らみが眼前に息づいている。そっと手を置いた。少女はうっすらと目を開け、また閉じた。
 やさしく確かめるように揉んだ。乳首が掌に当たる。わずかに開いた唇に口づけした。少女の温かい鼻息が触れてきた。

 唇を離すとせがむように少女の腕がぼくの首にまきついてきた。ふたたび濡れた唇に押し当てた。技巧などない、唇を合わせて押し付け合うキスが続いた。
(初めてのキス……)
夢中になって掻き抱く。
(女の子の体……)
 気がつくと無意識に硬くなった股間を少女の太ももに擦りつけていた。
(ああ……)
射精の兆しが高まって腰を引いた。

 何か気配を感じて起き上がって車外を見た。誰もいない。見上げる少女の口辺は唾液で濡れている。彼女は手の甲で拭い、
「誰か来た?」
「ううん、誰も……」
「よかった」
にっこり笑った。

 真っ白な水着に包まれた肉体は眩しい。ぽっちりとした乳首を指で突っついた。少女は口元で笑い、もう一度触れると笑顔が消えた。抵抗する気はまったくない。その顔はぼくの行為をじっと待っているようにも見える。
 胸に触れて、おなかを摩り、下腹部を見た。Y字のもっこりとした丘の中央にぴったり貼りついた水着が切れ目のように食い込んでいる。
(ああ……ここは……)
 手が下がっておへその辺りまで進むと少女の体がわずかにのけ反ってほんの少し、脚が開いた。
(触ってもいいということだ……)

 布の上からとはいえ、楕円の形がくっきり浮かんでいる。
(アソコだ……)
下腹のふくらみ……。
(やわらかい……)
指先はあと少しで割れた丘に届く。
少女はうっとりとぼくに笑みを送って、顎を引いた。頷いたように見えた。
『触って、いいのよ』……

 指、そして掌が被った。少女は眠ったように安らかな顔である。
太もももすべすべだ。脚は細いが腰の周りはいかにも女の子らしくふっくらしている、
 付け根から布をくぐれば……。
 動悸がさらに高まって股間に血流を送り込む。この時になって初めて『セックス』という言葉が浮かんだ。そのことに自分で緊張した。
(セックスができる)
いままでそれらしい機会すらなかった。それがいま、目の前に少女がいて、ぼくを迎えている。触れている水着の下には……。

 人の声にはっとした。岩場の海面にゴムボートが漂って数人の若い男が乗っていた。海水浴場からやってきたのかもしれない。
「誰か来た」
「ほんと?」
少女は頭を起こして浜を見て、ぼくの腕を強く引っ張った。目をつぶって口をすぼめた。
(キス?)
重なると少女の腕が思いがけない力でぼくを抱きしめてきた。歯が当たるほど互いの口がぶつかって、ぼくは彼女の股に手を伸ばして水着の中に指を……。

 声が大きくなってボートが浜に乗り上げていた。
「上がってきた」
少女は慌てもせず、またぼくを離そうとしなかったが、そうもしていられない。帰りの時間のこともある。夕方になると渋滞に引っかかる。
「そろそろ帰らないと」
「うち、遠いの?」
「うん。ちょっと」
「この辺じゃないの?」
「そうだね」
「ふぅーん。じゃあ、明日は会えない?」
気の抜けた言い方だった。
「明日も会える?」
「いいわよ。だって楽しかったもん」
「途中まで送ろうか?」
「うん。駅まででいい。そこからすぐだから」
「駅って、O駅?」
「そう」

 来る時に通り過ぎた小さな駅だ。子供の頃、家族で降りた記憶そのままの古い駅舎。車なら五分もかからない。
 少女を助手席に乗せて走りながら、昂揚している自分を感じていた。初めてのキスや女の子の体に触れた昂奮の余韻もあったが、それだけではない。少女を乗せて自分が運転している状況が嬉しかったのだった。
(女の子を乗せてドライブがしたい)
免許を取った時、妄想に揺れたものだった。それが現実となった実感が高ぶりとなっていたのである。

 駅前に乗り入れてぼくはさりげなく言った。
「今日のこと、ぼくは秘密にしておくよ」
少女は目をきょとんとさせて、
「もちろんよ」
そして微笑んだ表情はあどけなさが微塵も見えない大人の顔に見えた。

「明日、あの場所で」
今日より早い時間を約束してぼくたちは別れた。
(リアシートの倒し方を教わらないと……)
少女と戯れる場面を想像して股間は漲り続けていた。


渚 一景の最初へ 渚 一景 1 渚 一景 3 渚 一景の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前