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脅迫文=恋文?
【コメディ 恋愛小説】

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憲の涙=花粉症?-3

いや、被害者の人には悪いが、今の俺には全くもって関係ない。
が、今の状況であまりにも聞きたくない言葉が耳に飛び込んできた。
「女の子が撥ねられたらしい」
野次馬の一人が横の野次馬にそう言っていたのが聞こえたんだ。
頭が真っ白になった気分だった。まだ、白雪とは決まった訳じゃない。
だが、一瞬そう思ってしまった。そしてそれは一瞬で十分な不安を俺に植え付けてくれた。
か、勘弁しろよ、白雪じゃないよな!?
それだけはやめてくれ、神様!!
人だかりをかき分けて、一番前に出る。
其処には、バンパーを大きくへこませた車と、散乱した被害者である女の子の持ち物があった。
車のへこみ具合いからだいぶきつく当たったらしい。すでに救急車に運ばれたらしいが………あ、あれは。
俺の目がある一点に釘づけになった。そこに転がってたのは、靴だ。
青い色のスニーカー。
……白雪がいつも履いてるのと同じだった。
もう、何がなんだがわからない……。どうしてこんな事に。
俺が……白雪が何か悪い事をしたのか、神様。
まさか、自分を信じてないからってこんな目に遭わせたんじゃないよな?
もう何も考えられない……。
その時、ポケットに入っていた携帯が震えた。俺は普段からマナーモードにしてる。
誰からも見ずに電話に出る。
「……はい、もしもし」
「……憲?何で死にそうな声してるんだ」
「……死にたい」
「憲!?な、何言い出すんだ!?」
「……白雪が交通事故に遇ったんだ」
「アタシが!?」
「そう、アタシが……アタシ?」
「憲、何を寝惚けてるんだ?アタシはこの通りピンピンしてるぞ。霊界電話じゃないからな」
「白雪!?お、おまっお前、今どこにいるんだ!?」
「どこって、それはアタシの台詞だぞ」
「良いからどこだ?!」
「…憲の家の前だ。インターフォン鳴らしても出ないから、電話したんだぞ」
「良いか、そこから1mmも動くな!」
「む、無茶いうな「良いから動くな!!」
白雪の言葉を遮って言う。白雪は釈然としない感じでわかった、と返して、通話は終了した。
周りの野次馬達が変な目で見てたが、そんな事知るか!!
今の俺の心は白雪への怒りと……ええいなんと言ったら良いか解らんがとりあえずいろんな想いが渦巻いていた。
猛ダッシュで家への道を走り抜ける。
視界に白雪が見えた。隣には何故か自転車がある。白雪は自転車持ってないからあれは誰のだ、ってそんな事は考えてる場合じゃねぇ。
「あ…憲、どういう事か説明……」
白雪の言葉をまたも遮った。さっきは言葉で、今は抱擁で。
「け、憲!?」
あたふたする白雪を無視して、ギュッと抱き締める。
「し、心配させやがって、このバカタレが!!」
「け、憲?」
困惑した白雪の声聞いて安心したら、さらに感情が溢れてきた。
ズッ……
あ、鼻すすっちゃった。
「憲、泣いてるのか?」
「だ、誰が泣くか!」
ここは否定する。断固否定する。好きな女の子の前で泣くなんて、プライドが許さない。
「でも、鼻水の音が」「こ、これはだな。……花粉症だ、花粉症!」
「花粉症?昨日は何ともなかったじゃないか」
「花粉症は急になるんだよ!今日は晴れてるからな、花粉が多いんだ!」
「………」
かぁ、もうちょっとましな嘘つけよ、俺。
「ふぅん、まぁそういう事にしといてやるよ」


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