魔法の腕輪-1
ここはガンダ共和国。海岸の洞窟で10才の少年サンダが蟹や貝を獲って遊んでいた。そのとき何もない空間から突然血だらけの男が現れた。
「坊や、怖がらなくても良い。私は時の旅人だよ。時空を越えてここに流れ着いたんだ。
遠い時代の遠い異国の地で戦いがあって、私は巻き込まれてしまったんだ。
私の命はもう僅かだ。ここが私の死に場所になるだろう。だから坊やにこの腕輪をあげよう。
この腕輪は時空を越えて旅をすることのできる魔法のリングだ。さあ、受け取ってくれ」
そう言うと、驚いて口も利けずにいたサンダの腕に自分の腕輪を嵌めてくれた。その途端男の姿は泡のように消えてしまった。
その腕輪は赤がね色の何の変哲もない物だったが、何故かサンダの手首にピッタリ嵌るともう抜くことはできなかった。
「いったいどうやってこれを使うんだろう」
サンダが思わずそう呟くと、腕輪は金色に光り周りの景色は消えて、虹色の空間にサンダは浮かんでいた。
そして次の瞬間沢山の世界が目の前をグルグル廻り始めた。そしてどこからか声が聞こえた。その声は心の中に響いてくる声で男とも女とも区別のつかない声だった。
『心で念じなさい。もちろん声に出しても構いません。あなたの行きたい所と時代を選ぶのです』