それぞれの道2-9
二人して大口開けて笑い合う様子に、どうしていいのかわからないまま、それを眺めるあたし。
でも、恥ずかしさと怒りで力が入っていたあたしの顔は、次第に呆れて緩んでいく。
あたしの心配をよそに、すっかり打ち解けている二人の様子に、思わず苦笑いを浮かべた。
ホント、男ってバカなんだから。
でも、久留米さんの屈託のない笑顔を見てると、なんだか嬉しさがじんわり込み上げてくる。
あたしも口元に手をあてて小さく笑っていると、それに気付いた久留米さんがあたしの方を見やった。
「宗川さん」
「……何ですか」
わざと呆れ顔を向けると、久留米さんはニッと笑いかけて、
「俺、こうやってバカ言い合うの久しぶり」
と言った。
その言葉に即座に久留米さんのあの写真の中の彼を思い出した。
底抜けに明るい笑顔で写真に写る、ちょっとチャラそうな彼。
きっとあの頃の久留米さんも、こんな風に男同士でくだらない話でバカ笑いして過ごしていたんだろうね。
まるで昔からの友達のように笑い合ってる久留米さんと塁の間には、完全にあたしが割り込む隙はなかったけれど、端からそれを呆れながらも眺めるのも悪くない。
こんな短い間で久留米さんと打ち解けてた塁にちょっと嫉妬してしまったけれど、意外といいコンビになりそうなんて、あたしもついつい噴き出してしまった。