それぞれの道2-4
二人が消えて行った方向に、恐る恐る歩みを進めていく。
最愛の人と、大好きだった人。
やっぱり二人が傷つくとこなんて見たくない。
その頃にはすっかり不謹慎なヒロイン願望なんて頭から抜けていって、あたしは震える脚を引きずるようにして庁舎の裏へたどり着いた。
そこには、出番の無い黒い公用車が4台程、ガレージの中で寂しそうに待機している。
後は焼却処分を控えた可燃ごみをとりあえず保管しておくためだけに作られた、小さな物置小屋がぽつり。
人の姿が見当たらないその場所で、あたしは必死であの二人の姿を探していた。
その時、耳に飛び込んできた、久留米さんの声。
なんて言っていたのかはわからないけど、割りと大きな声のせいか不安はさらに大きくなる。
バクバク跳ねる心臓、力が抜けていく膝。
マジでヤバイって、これ。
声を頼りに耳を傾ければ、どうやら大きなガレージの陰にいるようだ。
あたしが止めないと、大変なことになる。
そもそもあたしがフラフラしてたことだって、原因の一つに違いないんだから。
さっきまで怖くてたまらなくて、カタカタ笑っていた膝にグッと力を込めて、しっかりと二本足で立ち上がる。
そしてついに腹を決めたあたしは、二人を止めるべく、生唾をゴクリと飲み込んでからゆっくりガレージへと歩き出した。