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もう君に会えない
【大人 恋愛小説】

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それぞれの道2-15

しかし、全く意に介さない様子の塁。


「だって、最初は久留米くんにお願いするつもりだったんだけどさあ、この通り引っ越しだろ?

他にもあてを探したんだけど、一人暮らしの奴ばっかでさ。年度末で忙しいって断られてばっかなんだよ。

だったら定時上がりで実家暮らしの玲香の家が一番いいと思ってさ」


「だからって、あたしん家にはメイが……」


「頼むって、玲香に断られたらコイツ飢え死にしちまうんだよ。

その代わり玲香にはメチャメチャ豪華なお土産買ってくるからさ、頼む!」


手刀を切りながら必死で頭を下げる塁の姿に戸惑っていると、久留米さんがふう、と息を大きく吐いてからあたしに向かって口を開いた。


「玲香、ここまで頼んでるんだからなんとか面倒見てやれねえか?」


「……でも……メイがいるし……」


「まあ、それは心配だけど、コイツの言う通りお前の部屋にカギかけて、メイが入れないようにするしかねえんじゃねえ?

プレッシャーは大きいだろうけど、お前しか頼る奴がいないみたいだし、俺からもお前のお母さんにお願いしてみるからさ」


困ったような笑みをこっちに向ける久留米さんと対照的に、鬼の首をとったみたいに不敵な笑みを浮かべる塁。


……頼んでるのはお前だっつーの。


塁には苦笑いしか出てこないけど、二人にここまで頼まれたら断りづらいじゃない。


「……わかったわよ」


結局あたしは首を縦に振ることになってしまった。






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