地震-1
地震
1.
デビッドとアンジーは、西オーストラリアの、インド洋に面した小さな漁村で育った。
漁村と言っても、先住民アボリジニーの村に、真珠養殖の日本人数家族と、白人2家族が住んでいるだけである。
幼馴染みのデビッドとアンジーは、年頃になると恋をして、結婚した。
経営不振で日本人が引き上げた後も、デビッドとアンジーはアボリジニー相手に、細々と真珠養殖の仕事を続けていた。
二人は幸せであったが、デビッドには、一つだけ悩みがあった。 どうやらアンジーが、不感症らしいことである。 結婚して1年近くなるのに、オルガスムスの気ざしが見えない。
最初の夜、デビッドは初体験であった。
穴の位置がよく分からないまま、アンジーの股間を突きまわしている内に、陰毛の上に射精をしてしまった。
二日目の夜、アンジーが誘導してくれたので、ようやく結合を果たした。 意外なことに、アンジーは快感を訴えるどころか、痛がって泣いた。
朝起きると、シーツが鮮血にまみれていた。 きっと無理をして、傷を付けてしまったのだと後悔した。
つぎの夜は、慣れも手伝って、上手く挿入が出来た。 アンジーも、昨夜ほど痛がらなかった。
痛くしない様に、じっと抱擁を続けていると、やがてペニスが硬直して、無事、ワギナの中に射精した。 朝、シーツに血が付いていないので、安心した。
デビッドは、心からアンジーを愛していたので、毎晩求めた。
どんなに疲れていても、愛の証しのため、抱擁した。
時には、勃起が途中で萎えてしまい、射精をしないまま抜けてしまうこともあったが、それでも、デビッドは、アンジーを、愛し続けた。
一年近く経つのに、アンジーにオルガスムスの気配がないので、心を痛めた。
アンジーは、デビッドと結ばれたことを、神様に感謝をしていた。 だってこんな人里離れところで、デビッドのような素敵な夫を持つことが出来たのは、奇跡に近いことだ。
ただ、アンジーには、一つだけ悩みがあった。 それは、デビッドが早漏で、最近はインポテンツの兆しさえ、見えることだった。
最初の夜も、挿入する前に、射精をしてしまった。次の夜は、アンジーが協力したので、挿入は上手く行ったが、思ったより早く射精をしてしまった。
それからは、毎夜求めてくれるのは嬉しいのだが、いつもじっと挿入したまま、自分だけ射精をして、果ててしまう。 最近は、挿入の途中で、ペニスが萎えて、射精しないこともある。
アンジーは、夫が体を離れると、横を向いて、密かにクリトリスを弄って、僅かな満足を得ていた。 このまま、夫とオルガスムスの悦びを分かち合うこと無く、一生を終わってしまうのかと思うと悲しかった。
2.
結婚一周年の旅行をすることにした。
以前、ここに真珠養殖場を持っていた日本人のスズキが、招待をしてくれた。 大阪に住んでいて、今は真珠の輸入を手がけていると言う。
東京見物の後、シンカンセンで大阪に着き、スズキの家に泊まって、京都や奈良の日本の古い文化を見て歩いた。 毎日が新鮮で、初めて身近に体験する古い歴史に感動した。
夜は、二人ともぐったり疲れ、人の家に泊まっている遠慮もあって、愛の営みの無いまま、1週間が過ぎた。
明日はオーストラリアに発つと言う夜、スズキはスキヤキの送別会を催してくれた。日本のお酒も初めて飲んだ。 家族的な暖かい雰囲気に、お酒も入って、デビッドとアンジーは、すっかりリラックスした。
ベッドに入ると、1週間ぶりに、二人は抱き合った。
デビッドは、アンジーを横抱きにして、キスの雨を降らす。 アンジーは、思い切って夫の口の中に、舌を入れてみた。 デビッドは興奮して、乳房から、腰、お尻と、アンジーの体中にくまなく手を回して、愛撫を続ける。
「アンジー、君を愛してる」
アンジーは、股間に、これまでに経験したことの無い充実感を覚えた。
ワギナは、デビッドの逞しいペニスで、はちきれんばかり。
「ああぁ、デビッド、あたしも、あなたを心から愛しています」
デビッドは、陰茎が根元まで入ると、さてどうしようかと、思い迷った。 いつもならこのまま、射精をするまでじっと抱擁を続けるのだが、今日はもっと何かしたい雰囲気だった。
突然、ベッドが揺れて、アンジーが腰を振った。 ワギナが、陰茎を少し扱いた。
「気持ち好い」
デビッドは、思わず腰を浮かして、二度三度と突き返した。
又ベッドが揺れて、アンジーのワギナが、陰茎を扱く。
「おお、アンジー」
デビッドは、今度は腰を煽って、大きくストロークした。
「気持ち、いいわ、デビッド」
下から、アンジーの腰が、ダンプカーのような勢いで跳ね上がる。
「おおぉ、アンジー」
デビッドも負けずに、大腰をつかって、男根ををねじり込む。
「おおぉ、デビッド、素晴らしいわ」
アンジーは、デビッドの恥骨が、クリトリスに当たるたびに、愛液を迸らせた。 デビッドは、愛液を垂れ流しながらヨガるアンジーを、ひっしと抱きしめて、ここぞとばかり、腰を送り込んだ。
「ああ、デビッド」
ワギナ一杯に満ちたデ−ヴィッドのペニスが、更に怒張して、子宮を突いた。
「ああ、デビッド、あたし イクゥ」
アンジーのオルガスムスを知ると、デビッドの堪えも限界に達した。
「アンジー、イッて、僕もイク、僕もイクぅ」
子宮を突き上げた鈴口から、精液が迸り出た。 吐出した精液は、至近距離から、スト
レートに子宮に飛び込んでいく。
「おお、神様」
「おお、アンジー」
3.
鈴木さんは、地震で目が覚めた。
棚のものが、ばらばらと落ちて、キッチンで食器が落ちて割れる音がする。すばやく、着替えて、テレビのスイッチを入れる。
デビッドとアンジーのことが気に掛かる。 オーストラリアには殆ど地震が無いから、二人ともびっくりしているに違いない。 でも、若夫婦の寝室に声を掛けるのは、気が引けた。
深夜番組の画面の下にテロップが流れる。
(近畿地方に地震発生、震源地は和歌山県沖合の模様、予想マグニチュード4.0、震度は大阪地区で3.5、津波の心配はありません。 新しい情報が入り次第お伝えします)
まあ、大した事にはなりそうもない。起きてくるまで、放っておくか。
3.
「ねえ、デビッド、この子の名付け親を、スズキにお願いしない」
「そう、それがいいな、アンジー」
アンジーは、お腹で育ちつつある子供が、スズキの家のあの夜に受胎したことに、確信を持っていた。
初めて夫婦がオルガスムスを経験したあの瞬間、アンジーの待ち受ける子宮に、デビッドの逞しいペニスから、子種が迸り、満ちた。
子宮口に、夕立のように降り注いだ、あの激しくも暖かい衝撃を、今も忘れることは出来ない。
「それにしても、君があんなに恐れていた日本の地震に出合わなかったのは、よかったと思うけれど、一寸残念な気もするな」
「よしてよ、デビッド。 あの後で起きたコウベ地震のことを考えても見なさいよ。 スズキの家だって被害を受けたのよ。 ところで、ねえ、デビッド、今日はこの前から、1週間も経ったわよ」
「うん、分かっているけど、お腹の子に障らないかな」
「大丈夫よ、日本に行く前のやり方なら・・・、あれならお腹に負担が掛からないわ」
「僕はいいけど、君が心配だな。 日本から帰ってから、君はすっかり激しくなったじゃないか」
「何言ってんのよ、デビッド。 それはあなたが激しいからじゃない。 でも、この子が生まれるまでは、日本式は暫くお預けよ、デビッド、分かったわね」
おわり