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もう君に会えない
【大人 恋愛小説】

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それぞれの道1-7

あの写真の三人を思い出すと、ほんわかと温かい気持ちになる。


不思議だ、前のあたしなら芽衣子さんの可愛い笑顔を見るだけで苦しくなったのに。


久留米さんの気持ちを素直に信じられるからかもしれないな。


そんなことを考えながらボーッとしていると、久留米さんは


「俺、寂しい時はこれにお前の写真入れて癒してもらうんだ」


なんてニコニコ笑って、空になったあのフォトフレームの中を開けていた。


「ええ!?」


意外すぎる彼の言葉にびっくりして、久留米さんを見れば、一枚の写真をアルバムから取り出しているところだった。


ヤバい、嬉しすぎる……!


一気に上がっていく心拍数と体温。


真っ赤な顔を見られないよう、あさっての方向に俯くけど、顔がニヤニヤしていくのが自分でもわかる。


愛情表現をあまりしない久留米さんが、あまりにもサラリとやってのけるから、嬉しい反面、気恥ずかしさでまともに彼を見ることが出来なかった。


「……よし、完成! 俺、お前の写真の中でこれが一番お気に入りなんだ」


そう言って彼は写真を収めたフォトフレームを段ボールの中にしまおうとする。


「え、ちょっと待ってよ! どんな写真にしたの!?」




どんな写真を入れたのかを教えてくれないから、途端にあたしは慌て始めた。


でも、久留米さんはニヤニヤ笑うだけで、


「いや、お前恥ずかしがるもん」


と、急いでフォトフレームを服の中に隠してしまった。





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