それぞれの道1-32
思わず背中がのけぞってできた隙間に、彼の左手が差し入れられ、いつの間にかあたしの身体はしっかり抱きしめられる形になった。
再び激しく求められるようなキスを交わしていくうちに、久留米さんの手があたしのジーンズにゆっくり手をかける。
それに応えるよう、あたしは少し腰を浮かせて脱がせやすくしてやる。
ズルッとそれがずり下げられたら、太ももに直に伝わるフローリングの冷たさに脚がビクンと跳ねた。
この部屋でこういうことをするのもこれが最後。
そう思うと、なんだか感慨深い感情が劣情にまぎれて胸を苦しくさせた。
ああ、ホントに離れ離れになっちゃうんだ……。
なんだか目の奥がツンと痛くなってくる。
もう簡単に会えなくなるなら、せめてあなたの肌の温もりをあたしの身体に焼き付けて欲しい。
そう思いながらあたしは久留米さんを黙って見つめる。
あたしを見下ろす久留米さんの顔もどこか寂しげで。
お互い、目を合わせて少し寂しげに笑い合ってから、あたし達は顔をもう一度近づけた……。