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もう君に会えない
【大人 恋愛小説】

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それぞれの道1-27

「何、指輪入んねえの」


ストレート過ぎる久留米さんの言葉がナイフになってあたしの胸に突き刺さる。


「い、いや……ちょっとむくんでるだけだから大丈夫……」


そう言って、グリグリ押し込んでみるけど、それをすればするほど指が白くなっていくだけ。


「お前さ、前に指のサイズ7号って言ってたよな?」


呆れ顔であたしを見つめる久留米さん。


そう言われてあたしは、誕生日プレゼントは指輪がいいと散々サイズをアピールしていた時の無邪気な自分を思い出していた。


結局久留米さんはあたしのリクエストを無視してネックレスにしていたんだけど。


とにかくあたしは嘘は言ってない。


“ギリギリ”7号なのだ。


だからと言って9号は少し緩かったから、彼氏の前で見栄を張るあたしの悪い癖で、ついついサバを読んでしまった。


でも、ギリギリ7号だけどダイエットして痩せれば指のサイズも変わるだろうし、痩せる予定だったから、7号と言っても問題ないって思っていたのだ。


しかし、予定はあくまで未定だった。


毎週末久留米さんとデートしては、美味しいものを食べに行ったり、自炊歴の長い久留米さんの手料理を食べるうちに、あたしの指のサイズはギリギリ7号から、ピッタリ9号にサイズがアップしていたのだ。


「そういや、お前最近顔が丸くなってきたもんなあ、指も太るんだな。

仕方ねえ、サイズ直してもらうよ。“彼女が太ったんで9号にしてください”って」


久留米さんは笑いながら、あたしから指輪を取り返した。


「ちょっと、7号で大丈夫だってば!」


あたしはなんとかそれを奪い返そうと、指輪をポケットにしまった久留米さんに飛びかかる。


しかし、必死こいて奪おうとした拍子に、グラリとバランスを崩したあたしは、久留米さんの方に倒れこんでしまった。




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