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もう君に会えない
【大人 恋愛小説】

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それぞれの道1-18

「あれ、もう一枚写真が入ってる」


少し厚みのある感触が、あたしの不細工な寝顔の写真の下にもう一枚重なっていることを気付かせた。


何の気なしに剥がしかけたけど、その途中でなぜか背中に悪寒が走った。


もしかして、この写真は……。


即座に浮かぶのは、ここに今まで収められていた久留米さんと茂さんと、そして芽衣子さんが写っていた写真。


その写真自体はアルバムに収められているけれど、彼女の笑顔が脳裏によぎる。


もし、これが芽衣子さんのソロ写真だったりしたら、きっとあたしは立ち直れない。


もちろん久留米さんのことは信じてるけれど、芽衣子さんを好きだった気持ちは絶対忘れないって言ってたし、彼の中で芽衣子さんは今でも大事な人のはず。


その“大事”が形を変えたから、あたしを好きになってくれたとは頭ではわかっているんだけれども。


こんな風にぞんざいな扱いされた後だと、どうしても自分が愛されてる自信は簡単に揺らぎ始める。


嫌な汗がじっとり滲み、荒くなる呼吸。


怖いなら、見なければいい。


でも、ここまで来たら引き返せない。


あたしはきつく目を閉じて、ゆっくり息を吸い込み、カッと目を開けてから、一気に重なった写真を剥がした、その瞬間。










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