それぞれの道1-16
ああ、あたしは久留米さんの手のひらで転がされっぱなし。
それでも、こんな風に抱き締められていると、まんざらでもないのも事実で、単純と思われても結局最後にはこんな形で収束してしまうのだ。
「そんなの自分で考えて」
意地悪言うのは、彼からのアクションを待っているから。
たまには久留米さんの方から、好きって気持ちを態度で示して欲しかった……のに。
久留米さんはあたしの身体を反転させると、ポンポンとあやすようにあたしの背中を叩いた。
そう、まるでメイと遊んでいる時みたいに。
そして彼はあたしの頭を乱暴に撫でてから、
「腹減ってるからよけいにイラついてんだろ?
飯買ってきてやるから機嫌直せって」
とだけ言ってスクッと立ち上がり、そのまま部屋を出ていってしまった。