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ハーレム?な少年
【その他 官能小説】

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ハーレム?な少年-1

大陸一の国、レストラ。
この国は二つの顔を持つ。
表では平民、貴族達が優雅に暮らし、華やかな世界を見せている。
しかし、それ以外のあぶれた者達、浮浪者や孤児達貧民は、対照的に毎日生きるだけで必死に暮らしていた。
そんな貧民達の中に、リン・ナナミはいた。
女のような名前と顔をしているが、彼は立派な男である。
年は14才なのだが、顔立ちはそれよりも幼く見える。
ボサボサの黒い髪と痩せこけた小さな体は、今までどんな苦労をしてきたのかを物語っている。
二年前までは、リンにはまだ貧しい中でも生きる力が溢れていた。
しかし現在、路地に倒れて身動き一つしない姿と、その瞳からは生気を感じない。
…二年前、リンの最愛の母は流行病で亡くなった。
父親は知らない。母は娼婦だったため仕事中にリンを授かったらしい。
リンの母、ハツネは息子に優しく、そして美しかった。
やせ細って今ではあまり見きれないが、リンの整った女顔の顔立ちは、あきらかに母譲りであると分かる。
ハツネがリンを産んだのが15才の時だったのでまだまだ若々しく、客層もその美しさの噂を聞いて、下級貴族が来ていたくらいだ。
ハツネは常にこう言っていた。
「人は皆幸せになるため生まれてくるの。リンも今はつらいでしょう。でもこんなにいい子のあなたなら、幸せは絶対やってくるわ…絶対にね。私にだって幸せは訪れたのだから」
「母さんの幸せは何だったの?」
リンが質問した時、ハツネは満面の笑顔でこう答えた。
「リンと出会えたことよ」
嬉しかった。そして自分もそうだと思った。
ハツネと共に過ごすこの日々こそが、自分の『幸せ』なんだと。
だがその幸せも、ハツネが他界したことで失ってしまった。
最後の時も、ハツネはリンの事ばかり心配していた。
涙を流しながら、「ごめんね。ごめんね…」と言い続けていた。
謝らなくていい。僕は幸せでした。母さんといれて、本当に幸せでした…
ハツネとの過去を思い出し、リンの生気の失われた瞳から涙が流れた。
もういい。自分は母さんが死んだ後も頑張った。でもこの世界には何もない。母さんもいない。自分の幸せの場所は、母さんの傍なんだから…
そんな考えが頭を巡り、リンはそっと目を閉じた。
母のいるあの場所へ、リンも向かうために…

「あら、起きたの?」
体の揺られる感覚にリンが目を覚ますと、目の前には30代程の妖艶な雰囲気をもつ美女が椅子に座っていた。
リンの体には高級そうな毛布がかけてある。
窓に視線を移すと、景色が高速で動いていた。
どうやらここは馬車の中らしい。
「あんな所でよく生きていれたわね。お腹空いてるでしょう?食べなさい」
女性は戸惑っているリンに気さくに話しかけ、パンや果物を差し出す。
こんな綺麗な状態の食べ物を見たのは久しぶりだった。
女性は、身につけた服装や立ち居振る舞いからして、高い身分の方なのだろう。
「あの、あなたは…?」
リンはおずおずと声をかける。
「私?私の名前はリズ。リズ・カミラよ」
「カミラ…って…」
リズはにっこりと笑い、
「そう。あのカミラよ」
リンは絶句した。カミラ家といえば、このレストラの王族の次に権力をもつ、三大貴族の一角だ。
リンのような身分からしたら、天上のそのまた上の人だ。
「ふふ。驚いたかしら?」
リンの顔を見て、クスクスと笑うリズ。
リンは首をカクカクと振って頷いた。
「あの…何で僕を…」
もっともな意見だ。平民ですらない、貧乏孤児のリンがなぜカミラの馬車などに乗って、食べ物を与えてもらっているのか。


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