第四話 年越し-1
第四話
年越し
1.
年末年始は、日本舞踊もタンゴのレッスンもお休みになるので、淳一先生は、初めて梓師匠の家で、年越しをすることにしました。
師匠の家は、金龍山浅草寺、通称 浅草の観音様と隅田川に挟まれた、花川戸にあります。
お弟子さんたちの年末の挨拶が一通り済んで、もう来客の見込みもない頃合を見計らって、淳一先生は、師匠のガレージに車を乗り入れ、シャッターを閉めました。
階下のお稽古場の脇の階段を上がると、師匠の居間と寝室になります。
師匠はいそいそと,先生を迎え入れました。
「嬉しいわ、先生、お帰りなさいって言ってもいいのかしら」
師匠は、先生の抱擁に身を委ね、口付けを受けます。
居間のソファーで、年越しそばを食べながら紅白歌合戦を見ます。
先生は、クリスマスイヴの残りのラム酒を使って、ダイキリを造りました。
「乾杯、今年はいろいろとお世話になりました。来年もどうぞよろしく」
2杯目のグラスも半分ほどになると、どちらからとも無く手が伸びて、お互いの腿を探り始めます。
「師匠、今日は年越しおマンコだなあ」
「先生、お元気で嬉しいわ、2年越しのおマンコで、寿命が延びたりするんですかねぇ」
「どうだろう。ネットの検索で調べてみようか」
「いいわよ、そんなこと、どっちにしてもするんでしょう? あっ、先生、乳首は後にして下さるぅ、今されると、夜中まで待てなくなりますぅ」
「先生、今、こんな話をして何なんですけれど、年が明けると死んだ亭主の一周忌なんです。一緒にお参りして頂けませんか」
「そうだねえ、ついこの間お葬式に行ったばかりだと思ったけど。いいよ、僕もご挨拶したいと思っていたんだ」
「ありがと、先生。 私ねえ、先生に会えたのは、死んだ亭主の導きだと思えてならないのよ。
先生のお名前が淳一で、亭主の名前も字は違うけれど同じ純一。それを知ったときに、ピーンと来たの。私、一生懸命亭主には尽くしたから、亭主がご褒美に先生に合わせてくれたんだと。
私ってアレが好きで、・・元はといえば亭主に仕込まれたんだけれど、・・独り身ではさぞ辛かろう、間違いがあってもいけないと、先生に白羽の矢を立てて、・・・。だからあたしは、喪の明けないうちに先生と出来ちゃったけれど、ちっとも罪悪感が無いのよ。
これは亭主のプレゼントだと思って。だから先生を、堂々とお墓参りにお連れしたいの」
「うん、いいよ。僕らの出会いは、まさに奇跡だと、僕も思う。 師匠の言う天国のジュンさんのプレゼントだというの、分かるなあ。何もかも、上手く行き過ぎる。
おチンチンとおマンコのサイズもぴったりだしねぇ、そんなの、普通はやってみないと分からないもんだからねぇ」
「先生、もうそろそろお時間じゃない」
「じゃ、観音様の除夜の鐘に合わせて、がんばるかぁ」