夜桜ひらり-1
小島を抱き締めたままゆっくりと毛布に寝かせ、上からそっと覆い被さると、僕はより深くとばかりに唇を重ねた。
切なげな吐息を溢しながら、小島は僕の首元に細い腕を回して 、髪をまさぐりながら口内に舌を入れ絡ませてくる。
「余り激しくされると、冗談抜きで収まりがつかなくなるので…」
思わずそう照れ笑ってしまった僕に、
「…収めなくていいじゃない。周りは皆酔って寝てるみたいだし…」
心許ない街灯の灯りを頼りに辺りを視線のみで見渡すと、動く人影はない。
時間は深夜零時をゆうに過ぎた頃。
「…いや、でも、こんな寒空の下で…」
「暖かいよ、いや寧ろ少し熱いくらい」
そう言って僕を引き寄せる小島に、僕は小さな苦笑いを浮かべつつ、収まりなんて本当はつくわけがない欲を満たすべく、再度唇を重ねた。
華奢な首、薄闇に浮かぶ小島の服の隙間から見える綺麗な白い肌。
「まるで夜桜みたいだね」
そう言って、肌に唇を這わせると、小島は恥ずかしげに小さな吐息をこぼした。
疲れて僕の膝ですやすやと眠る小島さくらと、明けていく春の景色を眺めながら、僕は寝不足の目を細めて、
「春だなぁ…」
生まれ変わった…とまでは言えないけど、少し新しい自分を感じて、小さく笑ってた。