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噂をすれば恋
【女性向け 官能小説】

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仕事では厳しいのに彼女には甘甘なんだ。

そんな行為が羨ましくて。
切なくて。辛くて。
伝えられずに宙に浮いた気持ちが消えてなくなってくれなくて。

それでも、たまにこんな風に
加藤さんを見た瞬間、きゅっと心が痛んだ。

「遅れてすみません。柳下さんに捉まって」
「柳下に?」
「次回の社内報の打ち合わせです」
「あぁ・・・」

あれか。と一瞬眉間にしわを寄せた。

「今月のカップルを続けようとしたら、ストップがかかったそうで
今月の社員を倍にしようかと」

あぁ。と、またそれだけ言って苦笑いをした。
加藤さんも新田常務の娘さんの話を聞いたんだろう。

柳下さんの言う「ここだけ」がここだけではないのか
加藤さんが情報通なのか。
どっちにしろ、加藤さんはストップにされた事情を知っているらしかった。

「カッコいい男性職員と可愛い女性職員を乗せようと思っているんですが」
「へ〜」

仕事とはいえ、あまり興味のない話だろうに
加藤さんはいつもきちんと部下の話を聞いてくれる。

「可愛い女性職員って誰が思い浮かびます?」

私はさりげなく、加藤さんの好みの女性を聞きだそうとしている。

そんな私を子供のいたずらのように笑いかけ
「俺にとって可愛いのは彼女だけだから」
なんて、仕事中なのにノロけて見せる。

くそ。彼女が羨ましい。

「可愛い女性は思い浮かばないけど、カッコいい男性は誰にするの?」

反対に山口の趣味は誰だよ?と
問いかけられている気がする。




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