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ゆえとナオさんpart4
【同性愛♀ 官能小説】

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第2話-1

「ふっ!」
ダンはその場で、空中一回転蹴りの要領で身体を回転させて、ナイフを投げ飛ばす。
ガンッ!
ナイフはボディーに刺さらずに跳弾する。
「ほぅら」
ダンは片脚で着地して、飛び上がって同じ動作をする。
「フンッ!」
ギンッ!
ドアの外板に、ニードルのようなナイフが突き立つ!
「えっ!」
ドカッ!
ナイフはボディーに吸い込まれる。
ダンの回転の勢いは増し、放たれるナイフに勢いが乗る!
ドカン!
着地は一瞬で、飛び上がって渾身の力を込めてナイフを打ち下ろす!
バシャッ!
サイドガラスが粉々に砕け散る!
ドカン!

「ダン、やめて…怖い…」
ナオは耳を塞いでへたり込む。
「ふーっ。
あーっ!?済まん!驚かすつもりは無かったんだ。
とっておきの隠し芸のつもりだったんだが…。ナイフを回収して引き上げよう」

ダンは割れた窓から手を入れてドアを開け、プライヤーで車内のナイフを引き抜く。
(すごい。ボディーと内装を抜いて、反対側のドアで止まってるのもある。
あれじゃ車の中にいても死んじゃうよ)

脚に力の入らないナオは、足元がおぼつかない様子でピックアップに戻る。
「私はリーチもウエイトも無いから、格闘では回転で威力をあげるんだが、
これはその応用なんだ。これならナオでも力強く打てる」
「車をブチ抜くのは無理だよ。銃じゃあるまいし」
「発射音がしないところが銃より優位だろ?
トランポリンで練習しよう。結構やるんだろ?」
「うん。ダンが置いてくれたやつで、男の子たちと練習してるよ。
私が一番上手いけどね」
「上等だ」


「うーん、真っ直ぐ刺さらないなぁ」
ナオはトランポリンから降りて、粘土に刺さったナイフを覗き込む。
弾道確認用のクレイを、ダンがスライスしたものだ。

「横弾になってるな。コリオリ力をキャンセルするんだ。
力を入れるのはそれが出来てからでいい」
「コリオリ力?」
「回転系に生じる慣性力だよ。投げたナイフも、つられて回ってしまうんだ。
回転力をナイフに乗せると、コリオリ力も強くなる。
キャンセル出来るようになってから、腕の力を加えるんだ。
それまでは離す時に、ナイフをそっと押してやるだけでいい」
「やってみる」
ナオはトランポリンに上がり、上下にリズムを取る。
「何度も言うが、ヤバかったらナイフを放るんだ。
怪我をしたら、マリーに言い訳出来なくなるからな」
「うん」
ナオは反動をつけて飛び上がり、背中で着地する。
跳ね上がる時にスピンをしてナイフを放つが、
やはり真っ直ぐには刺さらない。

「なんか上手くいかない。ダン、車をブチ抜いた時のナイフを見せてよ」
ダンは、ニードルのようなナイフをナオに手渡す。

「ダンのナイフは違う…形も違うけど…。
練習で使っているスローイングナイフとはバランスが違うんだ」
「ご明察。それはオリジナルだ。コリオリ力をキャンセルし易くなっている。
それが分かるということは、ナオにはそいつが必要だってことだ。作ってみるかい?」
「私が?自分で?」
「そうだ。ガレージで出来る」


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