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噂をすれば恋
【女性向け 官能小説】

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「横浜ホールディング、商品開発事業部の金子です。よろしく」

そう言って私たちと同じマークの入った名刺を差し出した。
私とすみれは一瞬、息を飲んだ。
社内の人に聞かれてはまずいことを話していなかったかと、
自分たちの話の内容を脳内でリピートした。

「あ!」

そしてすみれが金子さんを見て声を上げる
「真樹!この人だ!商品開発事業部の『いい男』!」

すみれ。それは声に出しちゃいけないことなのでは?

「へぇ。俺のことだったんだ?
海外事業部の長谷川すみれさんと、広報部の山口真樹さん」

私たちのことを知ってる?

商品開発事業部は社内で1番世間に疎い部だとされている。
この部は商品の開発を主な仕事にしていて
研究ばかりだから、社内の人間関係にも、出世にも疎い。

そんな開発にこんな人がいたなんて。
噂になるはずなのに全く知らない。

そんな私の思惑を感じとったのか
「席は横浜にないよ。山梨の工場の研究室にある。
まぁ本社に週に1回は来てるから、本社にも席はあるけどね」

と言った。
ああ。山梨の人か。
「で?合コンはどうするって?」

「セッティングして」
加藤さんを忘れるために新しい出会いもいいかもしれない。
今まで社内は避けてきたけど、
たまにはいいかも。

「俺、毎週末の金曜日に横浜なんだ。
来週の金曜日でいい?」

「はい」
と綺麗に笑って答えたのはすみれ。
あんた。私たちの今までの会話を聞かれてて
まだこの男とどうにかしようとする根性が偉い!





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