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氷炎の魔女・若き日の憂鬱
【ファンタジー 官能小説】

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氷炎の魔女と黒狼の旅記録-2


 *証言者3 ユスティニアル公国・第一公女マリアルイズ姫

「――ええ。我が王家に伝わる『精霊の鉢』でしたら、氷炎の魔女さまにお譲りしましたわ。
 精霊の加護が宿り、栄光と繁栄をもたらすと伝えられた家宝でございましたが、少々疑わしいものです。
 鉢を持っていても、国は昔から弱小で、我が王家もここ数年は貧乏の底まで落ちてしまっていたのですからね。

 ともかく、黒狼の使い魔を連れてやってきた魔女さまは、精霊の鉢と引き換えに、水源を独占していた盗賊団を倒してくださいましたの。
 おかげで農地は生き返りますし、わたくしと妹は隣国の宰相と金貸しに、婚姻という名の身売りをせずに済みましたわ。
 あの男たちが我が国を手に入れるために、影で盗賊を操っていたと判明した時は、やはりと思いました。
 父は長年の知り合いに裏切られていたのですから、ひどくショックを受けましたが、ようやく目を覚ましてくれました。

 これで妹は、望んだ相手と結婚できることになりましたし、わたくしも近々フロッケンベルクに嫁ぎます。
 国を立て直す当面の資金援助は、ヴェンツェル王子とわたくしが結婚することで、受けられることになりましたの。

 ――なんですって? いいえ! 結局は同じ政略結婚、などではございませんわ!
 だってわたくしは、以前からヴェンツェルさまを……お、お話は以上ですわ。ごきげんよう!」



 *証言者4 水晶半島・ピンイン族の長

「あいや。氷炎魔女の話、聞きたいカ?
 この島に、『水晶燕の宝貝』を探しに来たネ。
 宝貝は、高い崖にある水晶燕の巣、何千も覗いて捜スしかないネ。
 島民総出で協力、やと見つけた。大変だたよ。

 ――そうヨ。小鳥の巣、覗くだけなら、楽仕事と思てるの、大間違い。一羽でも怒らせたラ、水晶燕は魔法ノ鳴き声出して、身体が千切れるヨ! 

 あの鳥、眠らせる歌、昔から、島民だけの秘密ネ。
 でも氷炎魔女と黒狼、島の海岸にくる大蛸バケモノ、やつけてくれたネ。確か……タコ焼き、だたか? 東の食べ物にして、皆で食べた。美味だた。

 それに魔女がくれた芋苗、島の痩せた土地でもよく育つヨ。
 あれで済めば、恩の字ネ」


 *証言者5 海辺の街の牢獄にて、服役中の海賊

「氷炎の魔女だぁ!? 知ってるも何も、俺をここにブチこんだのはな、あの腐れ外道アマなんだぜ! 
 あいつが正義の味方なもんか! 俺たちよりよっぽど酷ぇ悪魔だ! 
 ――聞きたい? フン、そんじゃ教えてやるから。せいぜい悪名を広めてやれよ。

 俺の船はもともと武装商船だったが、他の船を襲うほうが、手っ取り早く儲けになるのに気づいてな。腕には自信があったし、部下たちも猛者ぞろいだ。
 殺しに略奪、奴隷売買と……あの頃は最高だった。毎日やりたい放題で……ん? おお、魔女の話だったな。

 あれは港に停泊して、馴染みの酒場で一杯飲んでる最中だった。黒い狼をつれた白髪のメスガキが、いきなり店に入ってきたんだ。
 歳はせいぜい15・6歳くらいにしか見えなかったが、店主にガキは帰れといわれたら、店で一番強い酒を注文して、一気飲みしやがった。
 それから、ドラゴン島へ行く船を捜してるとか言いだしたんだ。

 もちろん、酒場にいた連中は驚いたし、頭のおかしいガキだと、相手にしなかったさ。
 港から距離は近くても、あの島に近づく船乗りはいねーよ。
 凶暴な羽無しドラゴンが、うようよしてる島なんだからな。

 俺も無視してりゃ良かったんだが、つい欲が出ちまった。島に連れて行くと騙して、売り飛ばそうと考えたのさ。
 まだまだいっぱしの女って身体つきじゃねぇが、ツラは良かったからな。
 ガキ趣味の変態富豪に高く売れそうだ。狼もセットで仕込めば、高値がつきそうだと思った。
 それが、くそっ……思い出したくもねぇ。
 襲い掛かった結果、俺と手下たちは全員、阿鼻叫喚の地獄を見せられた……。

 そのうえ魔女は、船を乗っ取って島に着くと、ドラゴンの顎にくっついた宝石をとるのに、俺たちを囮にしやがったんだぞ! 何度、死ぬかと思ったか!
 それから港に戻って、俺たちを役人に引き渡したのさ。

 ……おっと、鐘が鳴った。ここじゃ労働義務があってな。今日は下水の清掃だとよ。

 ――あん? 俺たちが脱獄も考えず、やけに大人しい? 痛い目にあって、今までの海賊業を悔い改めたのかって? んなわけねぇだろ!
 くそっ……魔女はなぁ、俺たちが二度と暴れられないように、アイツが作った特別な種を、俺たちの身体に植え込んでいきやがったんだ!
 普段は大人しいが、宿主が興奮するとすぐに体中から発芽し、蔓で宿主から栄養を搾りとるんだ。それからまた体内に次の種を植え付けやがる。
 宿主が死ぬまで、永遠に繰り返すんだとよ!

 ぐ……う、お、クソっ! 怒鳴りすぎた! てめえのせいで発芽しちまっただろうが!

 ――う……ぐ、ぐああっ! うう…………そうだよ、栄養ってのは、精だ!
 おまけに種を植えられるのは、ケツの……くそおおお!! ド淫乱魔女がああああ!
 て、てめぇ、もう帰れ! いつまでも見てんじゃねぇ!
 ぎゃああああっ、あ、そこ、らめぇええーーーーっ!」

(一部に大変お見苦しい表現がありましたことを、深くお詫び申し上げます)




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