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君を救いたい
【純愛 恋愛小説】

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告白-3

春を知らせる花びらが、俺らの頭上を舞う中、俺は子供達がはしゃぐ公園で、楓と距離を
取りつつ、共に歩みよんでいた。

「静岡と言えばお茶の名産地じゃなかったっけ?」

中学2年生を卒業し、それと同時に父親の転勤の都合で、この日を最後に転校をする楓
俺はそんな彼女を一応暖かく迎える事に。

「そうね…」

何処か雑な歩き方をし、さっきから後ろで手を組み、1度も振り向かない

「その、短い間だったケド、楽しかったよ、ありがとう」

何かに気を触ったか、突然振り向き、眉を立てこちらに視線を止め

「複雑な言い草、それは付き合った頃の事?それとも転校して来た事を言ってるの?」

「…それは」

「ふっ、丁度良かったね、私が転校する事になって」

「!あっ、いや…それは、その」

もはや動揺を隠せる感じでは無く、俺は本題を口にする。

「俺の事、どう想ってる?、許せない…よね?」

「当然よ、私の事、結局もて遊んだんだから」

予想どうりの返答、返す言葉も無い。

「ホント、何と言っていいのやら、もう…殴りたいなら好きなダケ殴ってくれても
構わない」

「はぁ?」

「それで君の悔しさが消えるのなら、俺は…俺は」

「ばっかじゃないのっ!?アンタ」

「へっ?」

「そりゃー、殴って欲しいのなら殴ってやっても良いわよ、でもそれはアンタの願望
言わば、アンタ自身の自己満足、そうする事によって自分の気持ちを整理させたいダケ
私にとって気が晴れるも何も無いから」

「それじゃー、一体…」

「どうもこうも無いよ、こういう事は結局の所、何をしたって気は晴れない」

「っ…」

「アンタ結果的に私を利用した、私はアンタを本気で好きになったのに…」
「そういう過去は、変えられない過去として残っていくの、解る?」

言葉は発せず、ただ黙って首を縦に振る。

「だからこういう時は、何時までも訂正出来ない事を考えウジウジするよりも、その過去
を揉み消すくらい未来で一杯良い想いをしないと…」

「良い、想い」

「えぇ!、向こうではもっともっと良い恋をしてやるんだから、今度は優柔不断で女の子
を平気で利用する馬鹿男何かじゃなく、純粋に私の事を好きになってくれる人を探してやるっ!」


    向こうでは、一杯いぃぃーーっぱいっ!、恋をしてやるんだからぁっ!


そう声を挙げる彼女の目からは、心無しか潤んでいて。

「…見つかる、カナ?」

テンションが一気に下がり、沈んだ声を挙げ。

「…大丈夫だよ、ここに来た時も君は初日であんなに周りの人と打ち解けて来たんだ
俺が1度は本気で恋をした君だ、だから向こうでも君のその明るい性格に今度は本気で
惚れ、楽しい日々を過ごせる…そんな素敵な彼氏が出来るよ、絶対にね」

「…しゅう」

「今でも、電話番号とか変わって無いよね?、だったらもし何か嫌な事や気持ちが沈んだ
時とかにでも、何時でも電話しなよ、そしたら」

「そしたら助けに来てくれるの?、静岡まで…私の為に」

「!それは…」

しまった、調子に乗って喋りすぎたか、どう答えれば…そう困っていると

「あはっ、ウッソーッなーに本気で困ってるのよ、馬鹿ね」

「えっ?」

「ありがとう、その気持ちだけで充分嬉しい!」
「…いいなぁ、樹里奈サン、こんな良い人に好かれてさぁ!」

「…楓」

「利用されたのは事実何でしょうケド、私も私ね、薄々気づいてはいたのにそれでも
何もしないで。それにホント短い間だけどアンタとの楽しい日々を送れたし!」

「でもっ!こんな事するの私ダケにしなさいよっ!、…もし今の彼女も利用して振って
傷つける様な真似をしたら、その時は…その時はぁ、角砂糖を命一杯アンタにぶつけて
やるんだからねっ!シュガー、角砂糖の角は微妙に痛いでぇ」

そう説教をする彼女は、不の漆黒のオーラから解き放たれた様に、明るい

「それじゃー、そろそろ行かないと!」

「あっ」

そして勝手に背を向け、彼女の長く美しい黒いポニーテールが夕闇と共に舞い
子供の様に無邪気に階段を上がり、その途中で足を止め元気に振り向き言う


       しゅうっ!私、アンタの事だぁーすきダヨッ!
         自分がホントに好きな彼女の事、大事にするんだよっ!


「楓……っ、あぁっ!ありがとうっ!向こうでも元気でねっ!」

俺は手を振った、思いっきり、楓への今までの思いを振り切るように
何度も…何度も…。


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